アフリカにおける消費市場の拡大
アフリカは53の国と5つの地域によって構成されている。2010年時点、人口は10億9100万人、GDP成長率は5.5〜6%が予測されており、世界平均を上回る。
アフリカの市場は、資源による影響が強いが、近年は中間層の台頭によって、消費市場が拡大し、成長のスパイラルにある。
消費市場はロシアやインドよりも大きく、2008年時点8600億ドル。2010年には1.6倍に拡大すると予測されている。近年の経済発展の背景は以下の3つである。
・多くの国で政治的安定を取り戻している。
・債権国の債権放棄により、対外債務比率が低下している。
・新興国による需要が拡大している。
金融とICTの拡大
アフリカで最もホットなビジネスは「携帯電話」である。アフリカ全土での携帯電話の契約者数は、2005年8200万人から2010年で推定約4億4800万人に増加している。携帯電話による送金サービスが広く普及し、都市部ではスマートフォンも普及し始めている。
普及の背景には、プリペイド課金、購入しやすい料金、携帯送金サービスがある。銀行口座を作れない層が、携帯で公共料金の支払いや路面店での買い物、給与の受取に利用している。
アフリカのICTには、グーグルも注目しており、起業家支援の活動が展開されている。
アフリカは最後のフロンティアか?
日本企業にとって、アフリカ市場の優先順位は低いかもしれないが、中国やインドはアフリカ市場に猛烈な勢いで進出している。市場における中国製品の出荷割合は室内エアコン91%、冷蔵庫73%、カラーテレビ84%と寡占状態にある。また、中国は資源獲得のため、ナイジェリアに最大230億ドル、コンゴに60億ドルを拠出しているが、日本では25億ドルの拠出額を宣言した程度である。
インドは、携帯大手エアテルやタタグループ等が積極的にアフリカでビジネスを行っている他、印僑ネットワークが拡大している。中国やインド以外にも韓国のサムスンやLG電子は液晶テレビや携帯の販売を伸ばしている。
アフリカ市場は弱肉強食の資本主義において、最後のフロンティアと言うよりも、食物連鎖の末端と理解する方が正しい。中国やインドにとっては、自国製品とサービスを提供する消費市場と資源供給国と捉えることができる。しかし、アフリカ各国にとっては自国より経済水準が低い地域がないため、同じ大陸間での主導権争いが起こるに過ぎない。
アフリカは必ずしも物価が安いとは言えず、公共インフラも未整備であることから、ポスト中国としてのフロンティア性は薄い。アフリカは、未整備であるがゆえにビジネスの可能性が豊富にあるという意味でフロンティアである。