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2012/06/26更新

「解(かい)」は己(おのれ)の中にあり 「ブラザー小池利和」の経営哲学60

207分

5P

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自らを「可視化」して、距離感を縮める

小池社長は、週に一度、会社の動きや経営者としての思いを社員に向けて、ブログや動画を利用し公開している。また、仕事のウラ話やプライベート話なども発信している。

ブラザーはもともと家族主義的な社風である。現在では3万人を超える従業員を抱えるが、家族主義のDNAは残したい。社長も「フツーの人」と思われればいい。自らをさらけ出せば社員は親近感を持つ。「社長の見える化」は、全社一丸を実現する手法として最重要視されている。

「異端」が会社を進化させる

ブラザーがミシンメーカーから情報機器メーカーに変身できた背景には、「異端」の存在があった。山っ気の多い人材が揃っており、時に無鉄砲と思える強引さで突き進み、成功につなげた。

今では事業の柱の一つとなった通信カラオケも、その誕生の背景には異端児と呼べる社員の存在があった。今から26年も前にパソコンソフトを電話回線経由でダウンロード販売するシステムを開発。しかし、300台売れただけで経営陣に撤退を迫られる。そこで撤退費用が必要だと経営陣を説得し、その資金でインフラ技術を構築した。結果、それが通信カラオケ事業につながった。

ずば抜けた技術に頼るよりも、組み合わせの妙で勝負

ブラザーの独自性は、基盤技術が強くないことにある。ミシンはともかく、情報機器は業界をリードした技術ではない。他社から技術を買ってきて商品を開発し、やがてコストダウンの面から内製化してきた。

基盤技術が強くなければこだわりも少なくて済む。逆に圧倒的な基盤技術を持つ企業は、時としてその技術にこだわりすぎてしまう。ブラザーの基盤技術へのこだわりのなさは、自由な発想につながっている。

「選択と集中」で発想を狭めない

商品アイデアが先か、技術開発が先かは状況次第だが、あまり枠をつけない方がいい。これだけ変化の激しい時代なので、何かのキッカケで違う業界にパッと入れるチャンスもある。そこで自分たちのやっている領域はここだからと、制限しない方がいい。

選択と集中で領域を絞った上で開発するやり方に比べて効率性はよくないが、その非効率に思える部分が、次の事業の原点になることがある。

ブラザーの「解」はブラザーにある

大切なのは変化への対応である。1980年代、ブラザーはミシン依存度が低かったからこそ、経営資源を情報機器に振り分けることができた。それは90年代からの米国を中心とした成長につながった。次々に新商品を開発して挑んだ中から、ファックスや複合機が生まれた。

ブラザーが未来永劫に発展するためには変革が必要である。まず新規事業を結実させること。その未来に向かうインフラとして必要なのがスピードと真のグローバル化である。