アジアに取り残され、稼ぐことを忘れた日本人に対し、ユニクロ柳井氏が苦言を呈している。稼ぐことを忘れ、内に閉じこもり、リスクを取らない日本人、愚政を繰り返す官僚と政治家。国民は当事者意識を持てと厳しいメッセージを伝えている。
■日本だけが取り残されている
危機感を持つためには、自分が置かれた状況を理解しなければならない。凄まじい発展を遂げているアジアの国々の中で、日本だけが取り残されている事実を、知らなければならない。
アジアでゴールドラッシュが起こっている最大の要因は、40億もの人口。彼らは豊かさに飢え、消費意欲は途方もない。2020年には、アジア全体で20億人が中間層になっているとのデータもある。
いまや新興国にハンデは全くない。日本とアジア諸国を隔てていた「教育格差」も、ほとんどなくなっている。教育水準が高くなるにつれて、労働者の質も年々上がっている。優秀な戦力を確保しようと思ったら、日本よりもアジアを探す方が早いと行っても言い過ぎではない。
日本のバブルが弾けて以降の20年間、中国をはじめとするアジア諸国は、もの凄い勢いで経済成長を遂げてきた。日本だけが、90年代後半から横ばいを続け、全く成長していない。
政治の責任は大きい。バブル崩壊以降も、無駄の是正はなされず、非効率な組織がそのまま温存された。国際的に見れば、賞味期限の切れた業界を保護する一方で、グーグルやアップルのような産業を興す努力もしない。国民に日和って、景気対策という名目で公共事業などの応急処置を繰り返す。その財源は国民の預金を担保にした国債である。
今や国と地方を合わせた累積債務はGDPの約2倍に膨れ上がり、税収よりも大きな額を、国債発行して調達しなければ予算も組めない財政状況。ギリシャ危機は、日本にとって対岸の火事ではない。国民の意識と行動が変わらなければ、Xデーは早ければ3年以内に訪れる。
この国に必要なのは、国民一人ひとりが自分たちの立場や置かれた状況を正しく認識し、「何よりだめな日本」という現実を直視して、自らの誇りをもって、生きていけるだけの力をつけること。それは、経済的自立を目指すことと言い換えてもいい。稼げる個人、稼げる企業で溢れる国にしない限り、この国の破綻は免れない。
著者 柳井 正
1949年生まれ。「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング代表取締役会長兼社長。 ソフトバンク社外取締役。
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![]() 土井 英司 |
![]() コラムニスト 林 操 |
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章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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プロローグ 成長しなければ、即死する | p.9 | 8分 | ![]() |
第1章 いまやアジアは「ゴールドラッシュ」 | p.23 | 30分 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
第2章 「資本主義の精神」を忘れた日本人 | p.75 | 28分 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
第3章 政治家が国を滅ぼす日 | p.123 | 30分 | ![]() ![]() ![]() |
第4章 あなたが変われば、未来も変わる | p.175 | 28分 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
エピローグ 二〇三〇年・私が夢見る理想の日本 | p.223 | 7分 | ![]() |
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