あらゆる自己啓発本の原点となった名著『人を動かす』を、デジタル時代の21世紀向けに新しくしたもの。新しい事例を加えながら、D・カーネギーが説いた人間関係の原理原則を紹介している。
■唯一の法則
何千年ものあいだ変わらないことが一つある。それはあらゆる時代の哲学者が下した結論だ。人間の歴史と同じだけ古い真実だ。ゾロアスターは2500年前にペルシアの信徒に伝えた。2400年前の中国では、孔子が説いた。道教の開祖、老子も函谷関で弟子に教えた。釈迦は同じ頃、聖なるガンジス川のほとりでこれを説いた。ヒンドゥー教の聖典にはその1000年前に、同じことが語られている。彼らのすべてが結論した事とは、人からされたくないことを人にしてはいけないということだ。2000年前、キリストはその言葉をわずかに変えた。「人からして欲しいことを、人にしてあげなさい」。これが人間の歴史の中で、黄金律と呼ばれてきた唯一の法則である。
■信頼を築く十原則
①議論しない
人と議論しても、あなたが得るものはほとんどない。議論しても大抵は双方が、自分の方が正しいという確信を深めるだけ。あなたは正しいかもしれない。だが議論が何ももたらさなければ、完全に間違っていても同じだ。
②「あなたは間違っている」と決して言わない
人の間違いを指摘するのは、敵をつくるだけである。「あなたは間違っている」と言われて、論理的に反応する人はほとんどいない。大抵の人が感情的に反応し、防衛的になるだけだ。
③間違いを潔く認める
自分の過ちを潔く認めると、相手は大抵寛大になり、気前がよくなる。相手の頭の中で、その過ちがたちまち目減りする。だが責任逃れをしようとしたり、過ちを認めることを拒否したりすると、それだけで周囲の怒りが倍加して、もとの間違いがますます重大に見えるという、ろくでもないことになる。
④親しみをこめて話しかける
愛想よくにこやかに挨拶をするのは、こう語りかけることだ。「あなたは私が時間を使う価値のある人です。あなたは重要な人です。」この密かなメッセージが、途方もない力を持つ。
⑤共感を得る
会話が「イエス」から始まれば、最も基本的なレベルで共感が生じている。しかしそれを影響力に変えるには、共感という土台が存続しなければならず、そのため常に相手の立場から眺めなければならない。
⑥手柄をゆずる
それが誰のアイデアかとか、最初に言ったのは誰かとか、最初に試したのは誰かといったことは、長い目で見れば当人しか覚えていない。人がいつまでも覚えているのは、誰かの度量の大きさや、誰かの気前の良さだ。手柄を他人にゆずればゆずるほど、人々の記憶に強く残り、結局は自分が手柄を立てる。
⑦人の身になる
人の身になって考えることを心がけると、相手の気持ちや考えに同情できるようになる。そして心から正直な気持ちで、こう言うことができるだろう。「私もあなたの立場だったら、きっと同じ気持ちになるでしょう」。今ではほとんど耳にしなくなったが、こういう文句は相手をふと立ち止まらせて、こちらを向かせる。そしてこちらの考えをずっと受け入れやすい心境にする。
⑧気高い精神に訴える
私たちは誰もみな、心の底では理想主義者である。美しく響く動機を抱くのが好きなのだ。「あなたは正しく誉れ高い、嘘偽りのない行いのできる人だ」というメッセージを伝えよう。
⑨物語を共有する
人はその他大勢のような扱いをされたくないし、自分の人生を平凡だとも思いたくない。自分は重要な存在だと思いたい。そして、そう思うことのできる一番の方法は、自分をもっと大きな物語と結び付けることなのだ。
⑩対抗意識を刺激する
競争は優れた成果をあげることに加えて、仲間意識と団結心を育てることにも貢献する。
著者 デール カーネギー
1888年生まれ。アメリカ合衆国の実業家、作家、ビジネスセミナー講師。 『人を動かす』『道は開ける』などの自己啓発書は2000万部以上の売上を記録。 大学卒業後、新聞記者、俳優、セールスパーソン等、雑多な職業を経て、YMCA弁論術担当となり、やがてD・カーネギー研究所設立。人間関係の先駆者として名声を博す。 実業家のアンドリュー・カーネギーとは血縁関係はない。
TOPPOINT |
マインドマップ的読書感想文 smooth |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに――カーネギーのアドバイスはなぜいまなお重要なのか | p.7 | 13分 | |
PART1 人づき合いの三原則 | p.25 | 34分 | |
PART2 人に好感をもたれる六原則 | p.71 | 57分 | |
PART3 信頼を築く十原則 | p.149 | 67分 | |
PART4 人を変える八原則 | p.241 | 51分 |
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