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2013/01/18更新

7大企業を動かす宗教哲学 名経営者、戦略の源 (角川oneテーマ21)

220分

4P

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松下電器産業(現パナソニック)

松下幸之助は、人間に対して、あるいは人生に対して徹底して肯定的であり、自己の利益だけを考えるのではなく、社会全体の利益を考えて行動するならば、対立や衝突を回避する事ができるとしている。

楽観主義的な幸之助の経営哲学は「水道哲学」と呼ばれるものである。何より注目されるのは、幸之助の水道哲学の成立において、新宗教の草分けである天理教の影響があった点だ。幸之助は1932年に天理の街を訪れ、建物の広大さ、掃除が行き届いている事、建物の大半が信者の奉仕によってでき上がっている事などに感銘を受ける。

天理教は「陽気ぐらし」が実現されるならば、病からも解放されると説く事で、信者を増やしていった。その教えは楽天的、楽観的なもので、十分な教育を受ける事もなく、叩き上げから松下を大企業へと発展させていった幸之助には共感できる部分が少なくなかったのではないかと推測される。

幸之助は、宗教と同様に企業には人を救う力がある事を力説した。そして、企業の目的を、人間を貧窮から救い出す事に定め、あらゆる工業製品や物資を水道の水のように大量に、安価に提供する事を目指す水道哲学を説き、企業としての松下の使命に位置付けた。

幸之助の人生を見ていくと、宗教とのかかわりは極めて深い。実家は浄土真宗本願寺派の檀家であったが、幸之助は真宗に限らず、様々な宗教とかかわりを持っていく。真言宗醍醐寺派の僧侶である加藤大観、他にも新宗教の「生長の家」ともかかわりを持っていた。さらに創価学会の池田大作との間にも個人的な交流があった。

事業部制という経営上の制度は、松下電器が日本で最初に採用したとされている。この事業部制に近い形態をとっていたのが、創価学会である。松下という企業は、様々な形で宗教の影響を受けており、その理念の核心には密教や神道の教えが位置付けられている。それが、幸之助の精神的なバックボーンになっていた事は間違いない。

サントリー

創業者である鳥井信治郎の共同出資者となった西川定義という人物は信仰熱心で、信治郎に影響を与えていく。戦時中には神仏課という部署さえ設けている。社員を採用する際に、信治郎は易に頼った。

こうした信治郎の宗教とのかかわりから生み出されたのが、「利益三分主義」である。信治郎は「利益は人様のおかげだ。1/3を社会に還元し、1/3はお客様や得意先にサービスとして返す。残り1/3を事業資金とする」と述べていた。

さらに信治郎は、恩という要素を重視し、恩を受けている者はそれを返す必要がある事を強調した。この考え方は、サントリーの社会福祉事業に結びついていく。

関西圏では、商売人はおしなべて信仰に熱心で、商売繁盛の現世利益を期待して、様々な神仏に頼ろうとする傾向が強い。