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プログラムは「客目線」で組む

クックパッドはユーザー目線に立ち、その行動の徹底したシュミレーションに基づいている。ユーザーの大半は主婦。中にはインターネットが得意ではないユーザーもいる。説明を読まなくても、蛇口をひねったら水が出るというレベルでわかりやすく、すぐ使い方がわかるサービス作りを目指している。ユーザーが台所で、幼い子供をおぶったりしつつ、スマホでレシピ検索し、あるいはプリントアウトしたレシピを片手に、限られた時間で料理する状況を可能な限りシュミレーションする。

作り上げられたものは、実際のユーザーにも目の前で試してもらう。大事なのは「自分が何も知らない人だったら、どうするだろうか?」という想像力であり、「これならわかるだろう」という過信を持たないこと。常に来訪頻度をチェックしながら検証していく。そこで重要なのは、まず一回完成させて、形にして公開することなのだ。

ゼロベース・シンキングのすすめ

クックパッド社の全員の名刺には「自分の一番好きなレシピ」が写真入りで載せられている。執行役COOの石渡新介は「レシピつき名刺」発案者の一人。実は弁護士という顔を持つ。石渡の弁護士事務所は「ヴァスコ・ダ・ガマ」といい、名刺を交換すれば必ず所名の話になる。そうした経験を踏まえて「レシピつき名刺」のアイデアを提案した。

できあがった名刺には思いがけない効果があった。クックパッドがレシピの会社だというのが一目瞭然で理解してもらえる。場合によっては、後で料理を作ってくださる人もいるかもしれない。そんなきっかけ作りがたった一枚の名刺でできる。そのきっかけは、一人ひとりの社員から生まれるのである。

石渡は社内に「ゼロベース・シンキング」を広めたいと考えている。「レシピつき名刺」は「名刺とはかくあるべし」といった概念や先入観をゼロにして「そもそも名刺一枚がどれくらいの役割を担えるか」というベースからスタートした。

「3秒」でわからないサービスは失格

「優れたドアノブ」は、見ただけで押すか引くかわかる」とは、創業者の佐野の好きな言葉である。必要な説明の欠けている商品は、「それくらい言わなくてもわかるでしょ」という売り手の傲慢さが透けて見える。だから「商品は3秒でわからせること」という「3秒ルール」が社内では徹底されている。

クックパッドのこだわりのポイントの一つは文字数。クックパッドのレシピのタイトルは「夏!暑い日のごはん」「すぐに作れる絶品パスタ」など「3秒」で読める短さで20文字限定、わかりにくい表現は一切排している。

また、名刺にレシピ写真を大きく載せること自体、クックパッド社のビジネスは料理レシピのサイトであると、「3秒」でわからせる仕掛けである。