誰にアプローチするか
・顧客生涯価値
ある顧客が自社に対して、最大でどの程度の利益をもたらしてくれるのか。顧客生涯価値のコンセプトは、ある人物を顧客として獲得し、そのまま一定期間維持できたと仮定し、その人からどのくらいの売上が得られるかを示す。
特定の顧客が、今どの程度自社にお金を払っているかは既に把握しているはずであり、過去のデータから、その額が減っているのかもわかる。では、その顧客が、今後どのくらいの期間、顧客であり続けるか。
「失われる可能性のある売上額」=「売上が減少する確率」×「予想される売上の減少率」×「顧客の現在価値」
失われる可能性のある売上額というコンセプトを理解すれば、強力な差別化要因となる。必要な作業は、直感的に検討した要素を、変数に変換する事だけだ。顧客に関する詳細なデータベース(年齢、性別、職業、年収など)を作成する事で、今後どの程度の売上を得られるかおおまかに把握できるようになる。そして、最も価値の高い顧客にターゲットを当て、顧客価値をさらに高める対応がとれる。
何について話すか
反応率の良いメッセージをつくるためには、自分がターゲットとしている人々が、何に興味を持っているのかという点について、深く理解していなければならない。
・定性情報の定量化
定性的調査は様々な発見を与えてくれるが、サンプルの規模が小さい場合、参加者の意見が全体に当てはまるのか確認しなければならない。一方、定量的調査の場合、アンケートの内容は短くなるが、規模は大きくなる。データは大きければ大きいほど、モデルの正しさを確認したりする事が容易になる。定性的調査と定量的調査の結果を一つにする事で、確信が持てる情報を生み出せる。
顧客を真に理解するためには、顧客を信頼できるデータに基づきセグメント化する。さらにニーズを基準としたセグメント化を行う。この際にクラスター分析の方法を使い、顧客グループを生成する。以下の方法でクラスター間の境界線を引く事ができる。
①同じグループに属する点の間の距離を最小化する
②異なるグループの中心点の間の距離を最大化する
しかし、生成されたグループが妥当なものか、それが何らかの行動につなげられるものかを判断しなければならない。分析の半分は科学で、半分はアートでできているのだ。
ニーズを基準としたセグメント化は、顧客ごとにコミュニケーションをカスタマイズさせるための強力なツールなのである。コミュニケーションをカスタマイズする方法には、「マーケットバスケット分析」などもある。文字通り、顧客の買い物カゴの中に何が一緒に入っているかを把握しようというもので、顧客が興味を持っている商品について多くの事がわかる。