与える人が成功する
ギバーは「お人好しで、他人にいいように使われる人」と思われがちだが、実は意外にも成功者が多い。ギバーは成功から価値を得るだけでなく、価値も生み出す。それがテイカーやマッチャーと違っているのだ。成功しているギバーは、4つの重要な分野で、独自のコミュニケーション法を用いる。
①人脈づくり
テイカーとマッチャーがつながりを作る時は、近い将来、自分を助けてくれそうな人に的を絞る。これは効果的な基準だが、マイナス面が2つある。第一は、受け取る側が、自分が操作されているように感じること。第二が、助けてくれそうな人にだけ与えるために、ネットワークが非常に狭いものになる事だ。
一方、ギバーのアプローチは広範囲に及び、たとえ利益を求めていなくても、利益がもたらされる可能性は高くなる。そして、ギバーが最終的に成功する事になる大きな理由が「リコネクト」だ。休眠状態のつながりは、より多くの新しい情報をもたらす。しかし、テイカーやマッチャーにとっては、休眠状態のつながりに最接続する事が難しいのである。
②協力
テイカーは、自分が他の人より優れていて、別格の存在だと考える傾向がある。だから他人に頼り過ぎると、守りが甘くなってライバルに潰されてしまうと思う。一方、ギバーは、頼り合う事は強さの源であり、多くの人々のスキルをより大きな利益のために活用する手段だと考える。成功したギバーは、自分だけでなくグループ全員が得をするように、パイを大きくする。
③人に対する評価
テイカーは他の人の意図を常に疑ってかかるので、自分に害を与えないか、絶えず警戒している。こうした人の可能性を信じようとしない態度は、悪循環を生み、同僚や部下のやる気と成長を妨げる。ギバーは、他人の意図を疑わず、楽観的に解釈するので、すべての人の中に可能性を見出そうとする。
④影響力
人に影響を与えるための2つの基本的なアプローチは、優位と信望である。テイカーはできるだけ多くの価値を手に入れようと努力する中で、とにかく他人よりも勝ろうとする。優位を得る点ではギバーよりも優れているが、それはゼロサムゲームである。一方、ギバーはゆるい話し方をする事で、相手に「あなたの利益を一番に考えていますよ」とメッセージを伝え、信望を得る。
成功するには、与える事の強みを活かすだけではダメで、その落とし穴も避けなければならない。ギバーは自分の利益より他人の利益を優先する傾向があるので、つい自分自身の幸せを犠牲にして人を助け、燃え尽きる危険がある。成功するギバーは他者重視であるだけでなく、利己的でもある。受け取るより多くを与えても、決して自分の利益は見失わず、それを指針に「いつ、どこで、どのように、誰に与えるか」を決める。