異なる文化の違いに着目し、どのように多国籍な人々を組織としてマネジメントしていくかについて、示唆を与えてくれる一冊。各国の文化の違いを8つの指標で示されています。
■文化の違い
国をまたいでビジネスを行うマネジャー達の大部分は、文化が彼らの仕事へどのような影響を与えているかほとんど理解していないのが現実である。私達が気づいていようがいまいが、コミュニケーションの微妙な差異や「良いビジネス」だとか「一般常識」に対する各国の認識の違いは相互理解に甚大な影響を与えており、ひいては私達の仕事のやり方にも影響を与えている。この差異を意識せず、効果的に対処する戦略を用意しないでいると、チームミーティングは脱線し、従業員達の士気は低下し、外国の取引先はいら立ち、その他あらゆる点で目標達成をずっと困難なものにしてしまう。
次の8つの指標はそれぞれマネジャーが自覚しておくべき分野を表し、その分野内で両極端の特徴の内、当該文化がどこに位置するかを示す事ができる。そして、ある文化と別の文化の指標における位置づけを比較する事で、国際チームに文化がどう影響しているかを読み取る事ができるようになる。
■カルチャー・マップ8つの指標
①コミュニケーション(ローコンテクスト⇔ハイコンテクスト)
アメリカ←オーストラリア←ドイツ←ブラジル←フランス←ロシア←中国←日本
②評価(直接的なネガティブ・フィードバック⇔間接的なネガティブ・フィードバック)
ロシア←ドイツ←フランス←オーストラリア←アメリカ←ブラジル←中国←日本
③説得(原理優先⇔応用優先)
フランス←ロシア←ドイツ←ブラジル←オーストラリア←アメリカ
④リード(平等主義⇔階層主義)
オーストラリア←アメリカ←ドイツ←ブラジル←フランス←ロシア←中国←日本
⑤決断(合意志向⇔トップダウン式)
日本←ドイツ←アメリカ←ブラジル←フランス←ロシア←中国
⑥信頼(タスクベース⇔関係ベース)
アメリカ←オーストラリア←ドイツ←フランス←日本←ロシア←ブラジル←中国
⑦見解の相違(対立型⇔対立回避型)
フランス←ドイツ←ロシア←オーストラリア←アメリカ←ブラジル←中国←日本
⑧スケジューリング(直線的な時間⇔柔軟な時間)
ドイツ←日本←アメリカ←フランス←ロシア←ブラジル←中国
著者 エリン・メイヤー
INSEAD客員教授 異文化マネジメントに焦点を当てた組織行動学を専門とする。異文化交渉、多文化リーダーシップについて教鞭をとり、グローバル・バーチャル・チームのマネジメントや、エグゼクティブ向けの異文化マネジメントなどのプログラム・ディレクターを務めている。 ハーバード・ビジネス・レビュー、ニューヨーク・タイムズ、シンガポール・ビジネス・タイムズ、ジャカルタ・ポスト、タイムズ・オブ・インディアなど寄稿多数。 また世界銀行、国連、エクソンモービル、ミシュランなどで講演やセミナーを行っている。世界で最も注目すべき経営思想家のひとりとして、「Thinkers 50」ほかで紹介されている。
帯 HONZ代表 成毛 眞 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
イントロダクション | p.15 | 23分 | |
1 空気に耳を澄ます | p.47 | 29分 | |
2 様々な礼節のかたち | p.85 | 26分 | |
3 「なぜ」VS「どうやって」 | p.119 | 21分 | |
4 敬意はどれくらい必要? | p.147 | 26分 | |
5 大文字の決断か小文字の決断か | p.181 | 17分 | |
6 頭か心か | p.203 | 29分 | |
7 ナイフではなく針を | p.241 | 21分 | |
8 遅いってどれくらい? | p.269 | 20分 | |
エピローグ | p.295 | 9分 |
文化としての時間 (1983年) [Amazonへ] |