ミシュランの星付きフランス料理店のオーナーシェフが、料理を通じて、新しい発想を生み出すためのヒントを紹介している一冊。
■独自性を磨け
瞬時の的確な情報処理は、現代を生きる人間にとって必須の能力である。情報の活かし方はわかっていても、必要な情報を手に入れることが困難だった時代は終わり、必要な情報を探すのは簡単でも、その情報をどう編集処理して活かすかが困難になってきた時代、それが現代である。
そんな中では、民主的にアクセスできる情報を掘り下げて、独自に編集処理した非民主的な、自分だけを持つしかない。誰もが知りうる情報を編集処理したオリジナルの視点に立つことこそが、自分に必要な知識を呼び込む支点となり、他の誰でもない自身の志点を形作る。
コピー&ペーストを常態化した「人材」なら、換えはいくらでもある。そんな状況を変えていくには、まず個人事業主の意識を持って、希望する道を行く先達の話を聞いてみたり、周辺の本を深く読み込んで、自分なりに情報を活かせるよう工夫するしかない。そうした編集処理が、一緒に働きたいと思わせる「独自性」を形作る。
■リスクを負ってこそ成長する
発想力とは、人から教えられるものではなく、個人が様々なヒントを工夫して、独自に育むものである。自分が相手の発想から刺激を受けてやる気になる。そのやる気を感じて、相手も俄然やる気になる。そこにヒントを見出して、さらに自分の発想に繋げる。そうした相乗作用が、みんなをハッピーにさせるゴールに導く。
自分でリスクを負っていない人間は、学ぼうとしない。オリジナルの発想もない、成長もしない。会社で働いている自分を自ら「サラリーマン」と称するのは、仕事に対する意識が低すぎる。経営者であろうと従業員であろうと、プロとして結果を出す、その努力を怠らなければ、誰もが立派な個人事業主である。
著者 松嶋 啓介
1977年生まれ。〈KEISUKE MATSUSHIMA〉オーナーシェフ フランス芸術文化 勲章、農事功労章シュバリエ。 高校卒業後、辻調理師専門学校で学びながら、酒井一之シェフの〈ヴァンセーヌ〉に勤務。 20歳で渡仏。フランス各地のレストランで働き、フレンチの神髄である郷土料理を学ぶ。 2002年25歳で南仏ニースに、日本人初のオーナーレストラン〈Kei's passion〉をオープン。外国人シェフ最年少の二八歳でミシュランガイドの星を獲得。 店名を〈KEISUKE MATSUSHIMA〉に改める。2009年、東京原宿に〈restaurant-I〉をオープン。のちに店名を統一する。ほか、「食」を軸にさまざまなビジネスを展開する企業家でもある。
日経ビジネス |
帯 サグラダ・ファミリア主任彫刻家 外尾 悦郎 |
帯2 ネスレ日本代表取締役 高岡 浩三 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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序 章 発想力こそ、人生を前向きに生きる資源 | p.7 | 16分 | |
1 失敗は発想の源 | p.32 | 18分 | |
2 食卓に学ぶ「コンセプト・ディテール・ロジック」の発想法 | p.60 | 19分 | |
3 ソリューションを探る技術「スペースキー発想法」 | p.89 | 16分 | |
4 プレゼンテーションとマーケティングの方法論 | p.114 | 17分 | |
5 自分を育てる、人を育てる! | p.140 | 24分 | |
6 “KEISUKE MATSUSHIMA”ブランドのコンセプトと使命 | p.178 | 17分 | |
終 章 人が、その土地で、生きているということ | p.205 | 19分 | |
あとがき | p.234 | 2分 |