森信三とは
戦前から戦後の哲学者、教育者。天王寺師範学校(現大阪教育大学)や旧満州の建国大学、神戸大学教育学部において教師を務め、国民教育に生涯を捧げた人物。
森信三の死生観
死に対する態度が固まれば、生に徹することができる。生に徹することによって、死をも超える道が開かれる。つまり、死んでも思い残すことがない、何も後悔することがないという生き方ができれば、死を超える道になるとしている。
死が恐れる必要のないものになれば、我々にとって問題となるのは、死に至るまでに自分のなすべき仕事をどれだけ片づけておくかという点に絞られる。
生まれた者は必ず死ぬ。よって、自分が去った後の「人生の置き土産」を考えねばならない。「人生二度なし」という真理のもとに、精神が死後にも生きるような人間になるよう真実心を持って生き抜かねばならない。
森信三の人生観
「最善感」、神はこの世を最善に作ったとする。つまり、世の中は正直であり、公平にできている。自分に与えられた運命に感謝し、天を恨むことなく、人を咎めることなく、天命を信じてそれを楽しむような生き方が大切だとしている。
自分がこの世に生を受けた意義を知るために、40歳までは修業時代と心得えなければならない。人として生まれてきた価値は、人生の意義をどれだけ深く自覚して生きるかどうかに比例するとしている。人生の真の意義は長さでなく深さにある。そのためにも偉人の伝記を読み、その生き方を学んで、一日を充実して生きることが大切だとしている。
世のため人のためになる自分をつくる方法
・欲を捨てて世の中の人々のためになるという大欲の立場に立つ
・言葉を慎む
・己を尽くす
・志を立て、簡単にあきらめない
・気品を身に付ける
気品は、人間の値打ちのすべてを表す。気品は、知識を習得するようにして、簡単に得られるものではないが、修養によって心を清める以外に、身に付ける術はない。
真の修養とは、自己に与えられた生命の限りをどこまでも生かそうとする態度である。そして、人間が内面的に強くなることが大切である。そのためには決心覚悟が 問題となってくる。