非対称的なモチベーションを生み出せ
実績ある競合企業に魅力的に映るような顧客や市場をターゲットとしてはいけない。彼らが喜んで無視するか背を向けるような破壊的な足がかりを発見せよ。既存市場の延長線上にあるような持続(改良)的イノベーションは既存勢力がほぼ勝利をつかむ。
破壊の足がかりを特定せよ
将来の顧客になり得る人々が生活の中で片付けようとしている、特定の用事を結びつけ、持続的向上を進める間も特定の用事に結びついたままでいること。そして顧客を製品に誘導する目的ブランドを構築することが、破壊的製品を成長軌跡上に留める、唯一の方法である。消費者の真のニーズと、定量化データにはミスマッチがある。
無消費に対抗する方法を探せ
以下4つのパターンを利用すれば、初期の顧客基盤として有望な無消費者に対抗できる。
①標的顧客はある用事を片付けようとしているが、お金やスキルを持たないため、解決策を手に入れられずにいる。
②こうした新市場顧客を喜ばせる性能ハードルは、かなり低い。
③誰でも利用できる、便利でシンプルな製品を作る。製品が新成長市場を作るのは、誰でも使えるからこそだ。
④破壊的イノベーションは、まったく新しいバリューネットワークを作る。新しい顧客は新しいチャネル経由で製品を購入し、それまでと違った場所で利用することが多い。
無消費者がいない場合は、ローエンド型破壊戦略を検討せよ。
状況に適した業務範囲を定める
製品の機能性と信頼性が顧客のニーズを満たすほど十分でない状況では、独自の製品アーキテクチャを持ち、バリューチェーンの中で性能を制約しているインターフェースをまたいで統合されている企業が圧倒的優位に経つ。
一方で、機能性と信頼性が十分以上になり、代わってスピードとレスポンスが十分でない次元になったときは、その逆、つまり特化型の専門企業で、相互作用の方式がモジュール型のアーキテクチャと業界標準によって定義されている企業が優位に立つ。
しかし、やがては専門的であるがゆえに間接費が低い特化型企業集団による、ローエンド型破壊の対象となってしまう。
成長機会に取り組む組織
実績ある企業が破壊的イノベーションでの成功確率を高めるためには、機能別に構成された軽量級チームと重量級チームをそれぞれ適切な場合に用い、持続的イノベーションについては主流組織で商品化し、破壊的イノベーションは自律的組織に任せる必要がある。課題に合ったプロセスや価値基準を持つ組織に有能な人材を配置するように心を砕くことが、経営者の力点である。
成長を気長に待て、だが利益を待ってはいけない
多額の損失を計上し続けるということは、破壊的イノベーションを実績のある大きな市場へ向かわせ、破壊的パワーを殺して持続的イノベーションにしうる。