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2012/09/07更新

世界を救う処方箋: 「共感の経済学」が未来を創る

405分

5P

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ポスト資本主義を考える

開発経済学の第一人者が、アメリカの貧困問題や経済危機、政治問題など、その原因を分析。危機を救うための解決策を提示している。

「富裕層は社会的責任を果たすべきである」というのが主な主張。格差問題や政治が抱える問題などは、日本においても共通する部分があり、参考となる1冊。


■政府は自由市場に介入すべき
アメリカの世帯の1%を占める最富裕層の自己資本の合計は、残り90%の世帯の合計よりも多く、所得者の上位1%の税込所得は、下位50%の所得者の合計よりも多い。戦後から1980年代までの間、経済成長の恩恵は広く行き渡っていたが、その後、経済利益は富裕層に偏向した。

アメリカは1980年代に経済学の最も基本的で重要な考え方を忘れるようになった。すなわち、企業と政府は「混合経済」の一部として相補的な役割を果たすという考え方が、ないがしろにされている。

経済には効率性、公平性、持続性という3つの主要な目的があり、社会がそれを達成できるように、政府は民間の市場経済と共に意欲的な役割を果たさなければならない。現代の市場経済は人類の素晴らしい発明品であるが、3つの目的は市場の力だけで達成することはできない。

つまり、政府は貧しい者を保護するために所得を再配分し、インフラや科学研究などの公共財を提供し、未来世代の利益のために脆弱な地球資源の持続性を高めなければならない。

超短要約

アメリカの経済危機の根底には道徳の危機がある。アメリカの政財界エリートの間で市民としての美徳が衰退している。富者と権力者が自分以外の人々や世界全体に尊敬と誠意と思いやりを示さなくなった時、市場経済、法律、選挙といったものは十分に機能しなくなる。社会に責任をもとうとする態度を取り戻さなければ、意味のある持続的な経済復興を果たすことはできないだろう。

多くのアメリカ人はバラク・オバマに現状打開の希望を託した。しかし、今幅をきかせているのは変化よりも現状維持である。オバマは従来通りアフガニスタンでの終わりのない戦争を続行し、ロビイストにへつらって巨額の軍事予算を計上し、対外援助費を出し惜しみ、行き過ぎた減税策をとり、未曾有の財政赤字に陥り、アメリカが抱える問題の根本的な原因に目を向けることをためらっている。

アメリカ人が抱く最大の幻想は、富をひたすら追求すれば健全な社会ができあがるというものだ。こうして誰もが富の追求に狂奔した結果、アメリカ人は疲弊し、他人への信頼、誠意、思いやりといった美徳も失われてしまった。

行き過ぎた消費文明と異常なまでの富の追求に対抗するには、共感にもとづく社会をつくることで、経済の幻影を遠ざけることができる。個人または市民としての美徳が取り戻された時、私たちの失われた繁栄は復活する。

著者 ジェフリー・サックス

1954年生まれ。コロンビア大学地球研究所所長 潘基文(パン・ギムン)国連事務総長の特別顧問も務める。1980年にハーバード大学で博士号取得後、29歳で教授に就任し、20年間ハーバードに所属、同大学国際開発センター所長を務めた。 また、南米や東欧の途上国政府、世界銀行ほか各国際機関のアドバイザーを歴任し、2002〜2006年まで途上国支援のための国連ミレニアム・プロジェクトのディレクターを務める。 経済学者として世界から貧困を根絶するための活動に一貫して携わり、タイム誌「世界で最も影響力のある100人」に2004年、2005年と連続で選出された。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
第一章 アメリカの経済危機を診断する p.11 7分
第二章 失われた繁栄 p.19 15分
第三章 自由市場についての誤った考え方 p.36 20分
第四章 公共目的から手を引く政府 p.58 20分
第五章 分裂した国家 p.80 18分
第六章 新しいグローバリゼーション p.100 18分
第七章 八百長試合 p.120 29分
第八章 注意散漫な社会 p.152 27分
第九章 共感にみちた社会 p.185 24分
第十章 豊かさをとりもどす p.212 25分
第十一章 文明の対価 p.240 30分
第十二章 効率的な行政のための七つのルール p.273 14分
第十三章 立ち上がるミレニアム世代 p.289 14分

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