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2012/10/20更新

さっさと不況を終わらせろ

313分

8P

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  • すぐ使える
  • 学術系
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  • ひらめきを助ける
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流動性の罠

2000年代の半ば頃、アメリカ経済を動かしていた大きなものは、大量の住宅建設と強い消費者支出だった。さらに、この2つを動かしていたのは、高く上昇を続ける住宅価格で、それが建設ラッシュと豊かになった気分の消費者による支出をもたらした。でも住宅価格の上昇は、結局バブルで、非現実的な期待に基づくものだった。

バブル崩壊後、FRBは急激にマネタリーベースを増やすことで、対応した。資金を銀行に貸して、銀行がそのお金を一般に貸し出してくれると期待した。人々や企業は、これにより流動性を増やせる。しかし、借りた額に対して金利を支払わなくてはならない。銀行に金利を押し込むことで、FRBは金利を下げたが、ゼロ以下には下げられない。2008年末にはゼロ金利に達したが、それでも消費支出は弱いままだった。

過剰な負債

自分の収入や資産に対して負債がたくさんある状態だと、何かまずい事態が起きた時には明らかに弱くなってしまう。例えば、頭金なしで住宅ローンを組んで家を買った世帯は、住宅市場がほんの少しでも下落したら債務超過になってしまう。

負債問題を抱えた人々があまりに多すぎたら、そこから抜け出そうとする集合的な努力は自滅的なものとなる。何百万もの住宅所有者が家を売って、住宅ローンを返そうとしたら、結果として住宅価格は暴落し、ますます多くの住宅保有者は債務超過となる。負債の金額は減るが、実質的な負債の負担は上がってしまう。

鏡の国の経済学

僕たちは「流動性の罠」と「過剰な負債」のおかげで、パラドックスの世界にきてしまった。

・倹約のパラドックス
沈滞した経済では、みんなが貯蓄を増やそうとすれば、総所得は減り経済は収縮する。そして経済がますます沈滞すると、事業投資が減る。個人は全体として貯蓄が減ってしまう。

・負債圧縮のパラドックス
相当数の個人や企業が負債を一斉に返済しようとしている世界では、所得と資産価値が下落し、このため負債問題は悪化する。

・柔軟性のパラドックス
通常は、何か売るのに苦労しているなら、値段を下げるのが答えだ。だから大量失業への解決策は賃下げだということになる。確かに、低い賃金を受け入れれば、職にありつく可能性を改善できる。しかし、誰もが賃金カットに応じるのであれば、皆の立場は変わらず、単に全員の所得が下がるか、負債水準は前のまま。だから賃金の柔軟性は、単に事態を悪化させるだけだ。

通常は立派で堅実と思われていることをすると、現状においては事態がかえって悪化する。この問題を解決するには、もっと誰かが支出を増やして、借金を増やすのが重要となる。その誰かになれるのは明らかに政府だけである。この不況を解決するには、ケインズ的な政府支出を導くやり方しかない。