優れたアイデアには、特別な才能は必要ないと主張し、アイデアを引き出すための方法を紹介している。アイデアはすでに身の回りに存在する。それに気づくことができるかがポイントであり、常にアイデアを追い求める意識が大切だと説く。
様々な優れたアイデア発想の事例が掲載されており、参考になります。
■特別な才能はいらない
突き抜けたアイデアは、常にそれを探している者のところにやってくる。大きな違いを生むようなアイデアを手に入れる方法が、アイデアハントである。
アイデアの探求は、特別な才能に恵まれたひと握りの「創造的な人種」だけがする訳ではない。これは学習によって十分身に付くもので、その目的は「創造的な天才」になることではない。なぜなら、価値のあるアイデアは必ずしも創造を必要としないからである。むしろ、大抵はすでに存在しており、誰かが見つけて、イノベーションに仕立て上げてくれるのを待っている。
傑出したアイデアハンターのほとんどは天才ではないことが明らかになっている。アイデアに敏感なだけだ。アイデアを手に入れることに貪欲で、アイデアを売り込んだり、実現したりする能力に秀でている。
優れたアイデアハンターになるには、4つの基本原則がある。
①とことん興味をもつ
②間口を広げる
③トレーニングを欠かさない
④しなやかさを保つ
■アイデアハンターの事例
・バーズアイ
冷凍食品の生みの親であるバーズアイは、凍土に食品を埋めるという北極に住む人々にとっては当たり前の保存方法から、まったく新しいものを生み出した。バーズアイは、その強い好奇心によって、ありふれたものの見方を捨てることができた。
・フィル・シラー
フィル・シラーらのアップルのチームは、ヒューレット・パッカードが1980年代にワークステーションに搭載したスクロールホイールをiPodに採用した。アイデアの用途変更である。
・ウォーレン・バフェット
バフェットは、株価変動ではなく、収益や総資産といった指標が示す企業の本質的な価値に注目した。企業の「本来価値」を見極めるため、同業者が見向きもしないような調査を試みた。バフェットは、ムーディーズやS&Pに通い、また企業の年次報告書や誰よりも早くウォール・ストリート・ジャーナル紙を読むといった手法も活用し、アイデア収集を徹底した。
・ジャック・ドーシー
ツイッターのコンセプトは、全く別の分野から生まれた。ツイッターの生みの親であるジャック・ドーシーは、インターネットを使って、荷物や配送中の自転車やトラックの位置を追跡するソフトウェアを開発し、緊急車両の派遣サービスを始めた。そこから街で何が起きているかわかるようになったが、人間の存在が欠けていることに気が付いた。友達が何をしているか一目でわかるサービスとして、既存事業のアイデアをSNSの領域に応用した。
・サム・ウォルトン
ウォルマート創業者のサム・ウォルトンは、アイデアを求めてライバルの店をうろつくのを習慣にしていた。それはちょっとした勉強であり、その習慣を生涯続けた。ウォルトンは、「自分の店の向かい側にあるライバル店を研究することで一番多くを学んだ」と述べている。商品の陳列や配置方法など、ウォルマートで試みたアイデアはすべての店のマネだと大っぴらに認めている。
・エド・キャットマル
ピクサーの人々は、新しい作品を生み出すにあたって一番重要なのは良いアイデアではないと確信している。彼らにとって重要なのは、優秀で才能あふれるチームであり、本当に問題にしているのは「アイデアフロー」である。
ピクサーの共同創業者エド・キャットマルは「一本の映画には、文字通り何万ものアイデアが詰め込まれている。脚本の一行一行、一つ一つのセリフ回し、キャラクターやセットや背景の設定、カメラの配置、色彩、照明、テンポといった一つ一つのアイデアがまとまった形になったものだ」と述べている。
生まれたてのアイデアは、たいてい冴えないもの。完全な料理の形でお盆に乗って出てくることなどまずない。一つ一つの素材を他の多くの素材と組み合わせて料理に仕立てる必要がある。
著者 アンディ・ボイントン
ボストンカレッジ キャロル・スクール・オブ・マネジメント学長 経営学修士、博士号を取得したノースカロライナ大学チャペルヒル校、バージニア大学ダーデン・スクールで教鞭をとる。 その後10年にわたり、グローバル経営幹部の育成で世界的に知られるスイスのビジネススクールIMDでMBAプログラムの立ち上げやエグゼクティブ教育を行う。
著者 ビル・フィッシャーIMD教授 ノースカロライナ大学チャペルヒル校で20年教鞭をとる。その後1980年に中国へ移り、上海の中欧国際工商学院(CEIBS)で学長を務める。 現在、IMDでDSI (Driving Strategic Innovation) プログラムのディレクターを務めるほか、パナソニック・ヨーロッパをはじめとした企業のイノベーション促進のためのプログラムを提供している。
著者 ウィリアム・ボールボストンカレッジ ウィンストンセンター・フォー・リーダーシップ・アンド・エシックスのリサーチフェロー ワシントンポスト紙、ロサンゼルス・タイムズ紙、コモンウィール誌などで記者を務め、ジャーナリストとしての受賞歴がある。
マインドマップ的読書感想文 smooth |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
日経トップリーダー |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに なぜ、狩りなのか | p.4 | 4分 | |
序章 特別な才能なんていらない | p.14 | 10分 | |
第1章 自らの「技」を知る | p.27 | 12分 | |
第2章 ルール1 とことん興味をもつ | p.44 | 20分 | |
第3章 ルール2 間口を広げる | p.72 | 23分 | |
第4章 ルール3 トレーニングを欠かさない | p.104 | 28分 | |
第5章 ルール4 しなやかさを保つ | p.142 | 27分 | |
第6章 有意義な会話をしかける | p.179 | 12分 | |
おわりに 『アイデアハンター度診断』 | p.196 | 5分 |
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