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2012/11/27更新

政権交代 - 民主党政権とは何であったのか (中公新書)

182分

4P

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なぜ政治に民意は反映されないのか?

民主党政権の軌跡を辿り、8割の支持を得た政権交代を経ても、なぜ民意を反映しない政治が続くのかを分析した本。


■政権交代という神話
2009年総選挙で自民党が大敗し政権交代が実現した。しかし、その後の半年間で、「政権交代して政治が良くなった」と感じる有権者は、わずか17%になっていた。この「政権交代したこと自体は良かった」が「政権交代で政治が良くなった訳ではない」という、一見、矛盾する回答の中に、日本の政権交代の本質が隠されている。

では、どうして政権交代がもてはやされるのか。それは、政治の神話に起因する。中でも一般に流布しているのが「二大政党制になると政権交代しやすくなり、世の中が良くなる」という考えである。元々、政権交代をすれば政治が良くなるという神話は、欧米型の政治多元論が最も優れた民主主義という前提に基づいている。こうした神話は、1960年代当時、米国がソ連に対し、いかに自国の政治体制が正しいかを主張していた時に根付いた。

だが、政治多元論は声高に主張する必要はなくなっている。実際、バングラディシュは過去20年間、選挙のたびに二大政党制による政権交代を繰り返してきたが、政局が安定せず、未だ最貧国の一つである。結局、政権交代さえすれば政治が良くなるというのは神話に過ぎない。政策が変わらない政権交代では政治家の権力闘争に過ぎず、有権者にとっては意味がない。

超短要約

■代議制民主主義は機能していない
日本の代議制民主主義は機能不全を起こしている。「政党や候補者が提示した公約を判断して有権者が投票行動を決定し、その結果、選出された政治家が国会で有権者の民意に基づいて政策を決定する」という民主主義の理想が、現実には機能していない。

具体的には、政治家が選挙時に提示する公約と当選後の国会における発言や法案への投票の間に不一致が多くみられる。しかも、そうした不一致が次の選挙における得票に影響しないために政治家が安心して公約を守らないことに歯止めがかかっていない。このため有権者も遵守されるとは限らない選挙公約を信頼せず、選挙公約に基づいて投票行動を決めていない。

■どうすれば政治は良くなるか
日本の民主主義が本来の機能を取り戻すためには、次の施策が考えられる。

①予算登録制度
日本では選挙公約は有権者からボトムアップで作成したものではなく、政党や候補者が作成してトップダウンで有権者に提示したものである。そして、政党のマニフェストや各候補者の選挙公約は「有権者本位」「生活者主権」という抽象的な表現で具体性に欠くことが多い。

そこで省庁別部局別の予算案を提示させることで、抽象的な政策をどのように具体化するのかを明確にすることができる。提示した予算案は一定範囲内の変更のみを認め、それを超える変更は有権者の承認を得るようにする。

②首相国民推薦制
政権を担う政党だけでなく首相も有権者が選出するようにする。各党が国会議員の中から候補者を定めて、有権者が選ぶ。

③候補者公的助成
政治家は選挙の際は票目当てに都合が良いことを選挙公報で並べ立てても、当選後は重要法案の採決時には党執行部の決定に従わなければならない。つまり、政治家を選んでいるのは有権者であるが、当選後、政治家の顔は有権者よりも党執行部の方を向くことになる。

そこで、当選後も国会議員が有権者の方を向くように、政治家や候補者個人に公的助成を行う。選挙の際には、あらかじめ候補者個人にお金を貸出し、票数が足りない候補者からは返金してもらう。

著者 小林 良彰

1954年生まれ。慶応義塾大学法学部 客員教授 日本学術会議副会長 ミシガン大学、プリンストン大学、カリフォルニア大学バークレー校、ケンブリッジ大学ダウニング校などで研究教育に従事。慶應義塾大学法学部教授を経て、現在、日本学術会議副会長ならびに慶應義塾大学と横浜国立大学で政治学及び公共政策論を担当。

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ノンフィクション作家 塩田 潮
日本経済新聞 日本経済新聞

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
序章 政権交代神話と二大政党制神話 p.3 5分
第1章 民主党政権の誕生 p.11 18分
第2章 混迷―鳩山の迷走から菅政権へ p.39 41分
第3章 凋落、挙党体制の試み―大震災の衝撃から野田政権へ p.101 34分
終章 民主主義再生は可能か p.153 29分
あとがき p.197 4分

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