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2013/01/27更新

オーシャン・メタル―資源戦争の新次元

203分

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海洋に眠る資源競争の時代がやってきた

海底にはレアメタルやレアアース、メタン・ハイドレートなどの資源が眠っている。今、陸上の資源が枯渇し始め、世界各国は海底の資源確保に注目し始めた。
海底資源の現在がよくわかる1冊です。


■強まる陸上資源の制約
世界の資源消費量が、あまりに膨大になったために、多くの大規模鉱山で資源を掘り尽くすか、鉱石の品位がますます低くなりコストアップによる経済性の低下傾向が強まっている。

世界の国々が、深海底資源に目をつけはじめた理由は、こういった陸上資源の枯渇傾向と鉱石の低品位化、膨大な量の廃棄物処理問題と共に、地域住民の土地買収と移住問題、環境保全対策そして資機材搬入、鉱石出荷設備等のインフラ設備、住民に対する補償など巨額の投資が必要になってきた事がある。さらに受け入れ側の説得にも時間がかかり、権益を取得して草の根の資源探査を始めて、生産を開始するまで20〜30年かかるケースも多くなり、巨額投資の回収リスクが増大する問題を抱えるようになった。

陸上資源には、多くの制約条件が顕在化してきたため、供給リスクが大きくなり、不安定性が増してきた。一方で世界の資源需要は膨大となり、多国籍資源メジャー同士の争奪戦、国家戦略として中国その他新興国が参戦してきた。こういった事情から、いよいよ深海底資源に手をつけなければならなくなった。

超短要約

■日本の深海底資源
世界第6位の広さを持つ日本の広大な排他的経済水域(EEZ)の深海底には世界でも有数の豊かな資源が眠っている。

①熱水鉱床
沖縄トラフ、伊豆・小笠原海域において、多くの鉱床が発見されている。これらは、水深が700〜1600mと比較的浅く、開発に有利と期待されている。銅、金、亜鉛、銀、鉛などの回収可能量は地金価格で80兆円以上。この中にはレアメタルも含まれる。但し、鉱床の厚さ、方向が不明で商業化に向けて経済性を評価するには情報が不足している。

②コバルト・リッチ・クラスト
南鳥島、沖ノ鳥島そして沖大東島海域に分布する。チタン、マンガン、コバルト、ニッケルなどのレア・メタルの他、プラチナ、レアアースも含まれ、地金価値で100兆円以上という。2008年からは精密なボーリング調査などに着手した。

③レアアース泥
資源量の評価も採泥技術も研究段階であるが、南鳥島近海には膨大な資源が眠っている。レアアース泥の採取は、大量の水と共に採泥・揚泥する時の技術の困難性と、海底泥堆積層の攪乱による広範囲の環境汚染が指摘されている。

④メタン・ハイドレート
わが国では、南海トラフ海域の資源が特に注目されている。日本のEEZ内のメタン・ハイドレートの資源ポテンシャルは、メタンガスとしてのエネルギー価値で120兆円と試算されている。現在、商業化生産は2018年を目標としており、必要な生産技術開発を急いでいる。メタンガスを採り出す井戸が配置され、2013年春の産出試験に向けて準備が進められている。

■資源大国を目指せ
日本は、2003年から2008年まで海底資源開発に関する実質的な空白期間があった。その影響で技術開発の遅れと、技術者の高齢化、そして新たな人材の育成ができなかったことが、後れをとっている原因になっている。

20世紀半ば以降、無資源国として自他ともに認めるわが国であったが、21世紀も12年過ぎた今、自国に必要な資源は自国でまかなうことが、まんざら夢でもなくなってきた。しかし、無資源国と認識していながら、陸上資源の争奪戦には、ほとんど参戦する事もせず、相変わらぬ商社依存を通して、レア・メタル、レアアースで資源危機に見舞われている。しかも太平洋がまさにゴールドラッシュの様相を呈してきている中、中国などに後れをとる始末。

海洋の場合にはEEZがある。いまこそ官・民で態勢を立て直して最後のフロンティアでトップランナーを目指して海洋立国という国家の意思をもって、オーシャン・メタル開発を推進しなければならない。

著者 谷口 正次

1938年生まれ。資源・環境ジャーナリスト 1960年小野田セメント入社。1987年、資源事業部長に就任、1996年、秩父小野田専務取締役、1998年、太平洋セメント専務取締役、2001年、屋久島電工代表取締役。 その後、国際連合大学ゼロエミッション・フォーラム産業界代表理事・千葉商科大学客員教授等を経て現在、資源・環境ジャーナリスト。 他にNPO法人ものつくり生命文明機構理事。サステナビリティ日本フォーラム理事。サステナブル・インベスター顧問、クラブ・エコファクチャー理事等も務める。専門は資源・環境論

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
第1章 陸上資源の限界と次のフロンティア、深海底資源 p.1 23分
第2章 深海底における日本の保有資源、どこに、何が? p.33 19分
第3章 深海底資源、始まったオーシャン・メタルの時代 p.59 21分
第4章 オーシャン・メタルでクリティカル・メタル自給、その経済性評価は? p.89 20分
第5章 技術優位性確保戦争 p.117 29分
第6章 深海底資源・エネルギーと海洋安全保障 p.157 20分
第7章 2030年、資源大国を目指し、新海洋産業創出を急ごう p.185 11分
第8章 海洋再生可能エネルギー産業育成を急げ p.201 19分

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