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2013/02/20更新

アメリカは日本経済の復活を知っている

245分

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札を刷れ!

2012年2月14日、日銀は1%のインフレを「目途」とする政策に踏み切った。この政策によって、日経平均株価は一時的にせよ1万円を上回った。円安も1ドル80円を超えて進んだ。日銀自身が主張し、多くのエコノミストが主張していた「金融政策は効かない」という見解が、明白に反証されたのである。

金融緩和は、ただ量だけで効くのではない。この時のように「期待」を通じての効果が大きいのである。現在、日本に必要なのは、成長の潜在経路からはるかに下のところで日本経済が運営されている現状をすぐに改める事なのだ。そのためには、勇気ある金融政策が即効性を持つ。

日銀は「人口がデフレの要因である」事を主張する。ところが、人口をデフレに結び付けるのは、理論的にも実証的にも根拠のないものだ。貨幣的現象である物価、あるいはデフレに人口が効くというのは、「国民所得会計」や「金融論」から見ても、全く的外れな議論である。要するに日銀は、「金融緩和を充分にしない」という追及から逃れるため、貨幣量でなく、人口構成がデフレの原因だと言い訳しているのだ。

今もっとも責められるべきは、日銀であろう。デフレ不況を十数年も放置してきた責任の大半は日銀にあるのだ。リーマン・ショック以来、アメリカは通貨供給量を3倍に増やすなど米英中韓その他主要国の中央銀行は猛然と紙幣を刷り景気を刺激した。日銀は微増させただけで静観を決め込んでいる。ここ3年間で円がドル、ユーロ、ウォンに対し3〜4割も高くなったのは主にこのせいだ。今すべき事は、日銀が数十兆円の札を刷り国債を買い、政府がその金で震災復興など公共投資を大々的に行い名目成長率を上げる事だ。札が増えるから円安にもなる。

リフレ政策が必要

デフレを放置したまま消費増税を行えば、日本経済をしぼませてしまう。現在の日本に求められているのは「リフレ政策」である。リフレ政策とは、デフレからの脱却を目指し、2、3%という安定的でゆるやかなインフレ率に戻す政策のこと。その主な手段が、積極的な金融緩和だ。

リフレ政策に批判的な学者達もいる。彼らは「日銀が貨幣を増やしたとしても、タンス預金が増えるだけで、物価は上がらない」と主張する。日銀が貨幣と同じような短期国債ばかりを買っている限りは、そういう可能性もある。それならば、日銀が資金繰りに困っている中小企業の社債を買うというのも一つの手だろう。

FRBは住宅市場で、毎月400億ドル規模の住宅ローン担保証券を買い上げる事を決めた。金融政策をもって資産市場に影響を与えようという事だ。デフレから脱却できない日本経済を救うには、FRBと同じように、ある程度の危険を冒すガッツも必要なのである。