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2013/04/02更新

評価と贈与の経済学 (徳間ポケット)

169分

6P

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これからの社会はどうあるべきか

現代の若者と時代を考察しながら、これからの交易と共同体のあり方について、内田樹氏と岡田斗司夫氏が対談。市場経済の限界を論じながら、贈与をキーワードとした新しい社会のあり方を示している。


■イワシ化する社会
今は本質的な議論の判定がなく、単なる流行りだけがある。つまり「今これが注目されている」「キーワードでこれが上位に来てる」というだけの情報。かつては有識者がいて、その人達の話を聞いた上で個人個人がそれらを見比べて、意思決定をした。しかし、今は「ランキング上位だから良いに違いない」という発想。

これを「イワシ化」と呼んでいる。イワシは小さい魚だから、巨大な群れになって泳いでいる。中心がいないが、うまくまとまっている。しかし、突発的に何かが起きたら容易にバラバラになる。そんな時代に大手メディアが少しずつプレゼンスを失っている。

「イワシ化する社会」というのは「脳化する社会」というのと同じ事。みんなが頭で考えて、脳だけで判断するから、その選択が自分の生きる力を高めるかを吟味しないで、ふらふらマジョリティについてゆく。だから、普通ならそんな極端なところまで行く前に気がつくはずの、極端に反生命的な事をして「心が折れ」たりする。

超短要約

■自分の気持ち至上主義
今の子供は大人から洗脳されて「なんでも可能性がある」って神話を本当に信じている。だから成長すればするほど壁に当たって傷つく。中学から高校、高校から大学に行く時に絶望感があって、大学では年次が上がるにつれて就職っていうのが怖いものだと思い、具合が悪くなる。

という事は、どうにかして子供のマインド、ボディで居続ける事が、個人としての勝利になる。自分の気持ちを大切にするために、いろんなところから肯定的な情報を集めてきたり、ソーシャルネットワーク上でイワシ化する。そうやって自分がどんどん増大し、自分の気持ち至上主義になる。「子供っぽい自分」を維持する事が一種の正解であると錯覚する。

■草食化するワケ
今、若い男子が一番嫌な事は、誰かにいいように利用される事。だから草食系になる。なぜなら、欲望というものを持ってしまったり、それが他人になれたら、巧みに利用されてしまうと思っているから。何かに熱心になったり、熱く生きる事に対して憧れはあるけど、下手に熱くなると利用されるだけだから、上手く熱くならなきゃダメだっていう縛りの中でもがいている。うまく立ち回らなきゃダメだっていう事が、余計に彼らの選択肢を減らしている。

さらにネット社会だから失敗っていうのが許されない。失敗はブログの記録に残って生涯指摘されるから。彼らは完全記録時代に生きているため、昔の時代と失敗に対するリスクが違い過ぎる。

■贈与の経済
人間は誰かに贈与するっていうシチュエーションに遭遇しないと、自分が実は「持っている」側、つまり贈与を受けている側だっていう、へりくだった自覚をする事が不可能だ。

若い人は、今すごく厳しい環境に置かれているから「贈与しなさい」なんて言われても「ふざけんなよ」というリアクションをする人が多いだろう。でも「そのうち金持ちになったり、出世したりして余裕ができたら、贈与について考えてもよい」というふうに考えている人には贈与のサイクルに参入するチャンスは永遠にめぐってこない。自分が他人に何をしてあげられるかを考える人間だけが贈与のサイクルに参入できる。それはその人の貧富とか社会的地位の高低とは全く関係がない事である。

ビジネスにおいても、その人間に公民性、シチズンシップがあるか、信義に篤いか、義理堅いか、贈与されたものにきちんと反対給付義務を感じるか、そういう事が優先的に配慮される環境をいかに再構築するかである。

著者 岡田 斗司夫

1958年生まれ。日本の作家、プロデューサー。自称オタキング(おたくの王) 株式会社オタキング、株式会社クラウドシティ代表取締役 大阪芸術大学芸術学部客員教授 アニメ・ゲーム制作会社ガイナックスの創業社長をつとめた後、東京大学非常勤講師に。その後、立教大学やマサチューセッツ工科大学で講師を経て、現在は、大阪芸術大学客員教授を務める。

著者 内田 樹

1950年生まれ。思想家、神戸女学院大学名誉教授 専門はフランス現代思想、映画論、武道論。著書に『街場のアメリカ論』『街場の現代思想』、『街場の教育論』『街場の中国論』、共著に『現代人の祈り--呪いと祝い』(サンガ)、『若者よ、マルクスを読もう』など。2007年『私家版・ユダヤ文化論』で第六回小林秀雄賞を、『日本辺境論』(新潮新書)で新書大賞2010を受賞。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
まえがき p.11 4分
第一章 イワシ化する社会 p.19 15分
第二章 努力と報酬について p.47 21分
第三章 拡張型家族 p.85 17分
第四章 身体ベースの人間関係を取り戻す p.117 14分
第五章 贈与経済、評価経済 p.143 24分
第六章 日本の豊かな潜在力 p.187 21分
第七章 恋愛と結婚 p.225 11分
あとがき p.245 4分

ユーザーのしおりメモ (1)

umisaka

イワシ化する社会。本質的な議論がなく、ランキングされているから、みんなに評価されているからというだけで、フォローする。売り手の側からすると、そうした社会構造は容易にコントロールできると思うのだろうか。
2011-11-30