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2013/04/04更新

ヤバい経営学: 世界のビジネスで行われている不都合な真実

296分

9P

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経営の世界にはおかしな常識が溢れている

欧州No.1ビジネススクールの人気若手教授が、経営に関する様々な不合理な常識を紹介。M&Aやリストラは効果があるのか?といった事を研究結果をもとに解き明かしています。


■集団慣性
「他の人達がやっている」という単純な事実は、私達の意思決定や行動に大きく影響している。そんな事には、普通はなかなか気付かない。そして、会社の経営者も人間だ。いくつかの研究結果によると、「経営者も真似をしている」事がわかる。多くの場合、経営者がやろうとする事は、競合他社がやっている事と同じ事なのだ。

ビジネスの世界では、真似の結果、非合理な状況を生み出してしまう事がある。例えば、製薬会社は研究開発費用の2〜3倍の額をマーケティングに使っている。このうち最も大きな支出はMR活動にかかる費用だ。MR活動とは、医者のところに何度も無料サンプルを持って訪問し、医者を接待しながら病院で自社の薬を処方してくれるよう営業する事である。ある調査によれば、一つの新薬を使ってもらうまでに、製薬会社のMRは平均3回も医者を訪問し、26回分の無料サンプルを配っている。なぜ製薬会社はこんな時代遅れのやり方を続けるのか。まず、MR活動が本当は意味がないという根拠が見つかっていない。そして、自社だけがMR活動を止める事で、売上を減らしてしまうのが怖いからである。

超短要約

■逆の因果関係
『エクセレント・カンパニー』『ビジョナリー・カンパニー』といったベストセラーの著者は、シンプルだが説得力のある法則を持っている。彼らは、成功しているいくつかの会社を見て、何が共通しているかを探し、「これこそが正しい戦略だ」と結論づける。しかし、現実はずっと複雑だったりする。

多くのビジネス書が引き出す結論の一つが、企業はいくつかのコアビジネスに集中するべきだというものだ。こうしたアドバイスが見過ごしている事がある。低迷企業は、もっと儲かるビジネスを探そうとして、多角化する事が多い。つまり、一つの事業に集中していないのは、業績低迷の原因ではなく結果なのだ。ベストセラーのビジネス書の著者は、原因と結果を逆にしている。

ビジネス書は同じように、高業績企業は強い企業文化を持っていると主張している。しかし、アカデミックな世界では成功が徐々に均質な組織文化を作っていく、という法則がよく知られている。成功企業の特徴をただ真似る事は、逆に会社を成功から遠ざけてしまう可能性がある。

なお、『エクセレント・カンパニー』当時の「世界で優れた企業」43社は、今では3、4社ぐらいしかリストに残らないだろう。

■人員削減は効果がない
原因と結果は、ビジネスの世界ではわかりづらい問題だ。ある経営施策がすぐに利益をもたらしたら、それが良いものだと思い込みがちだ。しかし、短期的な利益の存在が、長期的に良い結果を生むとは限らない。しかし、悪い結果が最終的に現れても、始めのやり方が原因だとはほとんど気付かない。

例えば、「経営合理化」という施策(リストラ、人員削減など)の短期的なメリットは明らかだ。コストが減る。その反面、イノベーションが減り、従業員のモチベーションが下がり、会社への忠誠度も減退する、といった長期的に大きなマイナスがある事が証明されている。そういう結末は、時間が経って初めて明らかになる。

経営合理化は効果がない。調査によれば、人員削減は利益率向上に貢献しないばかりか、悪化させていた。人員削減の後は社員のやる気も減退し、自己都合退職が増えることが、明らかになっている。

■成功した経営者は本当に有能か
有名な経営者が、本当に他の無名の経営者よりも実績をあげているのか。優れたリスク管理者は、リスクとリターンのトレードオフ分析を、注意深く行う事で、最小限のリスクで最大限のリターンを得られるように計算している。しかし、ダメなリスク管理者は、このような関係を理解していない。注意が必要なのは、こうしたダメなリスク管理者が、時々がっぽり大金を稼ぐ事がある事だ。

つまり、高業績を誇る経営者の上位1%を見ると、このリスクとリターンの関係を理解していない人達である可能性が高い。こういう経営者はとてつもなく幸運なのだ。

著者 フリーク ヴァーミューレン

ロンドン・ビジネススクール准教授 専門は戦略論とアントレプレナーシップで、主にMBAとエグゼクティブMBAプログラムで教鞭をとっている。東芝、BP、フィアット、IBM、KPMG、ノバルティス、ボーダフォンなど、大企業の経営層のアドバイザーを務めるとともに、一般紙・専門誌への寄稿多数。 Academy of Management Journalの最優秀論文賞を受賞。現在は同誌を含めた経営ジャーナル4誌の編集委員を務める。ロンドン・ビジネススクールでは、ベストティーチャー賞と最優秀授業賞を受賞。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
Introduction モンキーストーリー p.1 5分
Chapter1 今、経営で起きていること p.7 28分
Chapter2 成功の罠(とそこからの脱出方法) p.43 23分
Chapter3 登りつめたい衝動 p.73 20分
Chapter4 英雄と悪党 p.99 20分
Chapter5 仲間意識と影響力 p.125 37分
Chapter6 経営にまつわる神話 p.173 35分
Chapter7 暗闇の中での歩き方 p.219 37分
Chapter8 目に見えるものと目に見えないもの p.267 18分
Epilogue 裸の王様 p.291 5分

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