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2013/04/19更新

デフレーション―“日本の慢性病"の全貌を解明する

  • 吉川 洋
  • 発刊:2013年1月
  • 総ページ数:236P

199分

15P

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なぜ、日本だけがデフレなのか?

現在、経済学で主流になっているマネーサプライの供給拡大による景気刺激策は、効果が乏しいと批判。デフレ現象の根底にある問題を解き明かす。


■貨幣数量説は正しいか
1990年代から20年間続く日本のデフレについて考える時、参考になるのは1873−96年にイギリス経済が陥った大不況である。この時代、物価は2/3の水準まで、だらだらと低下し続けた。デフレはなぜ止まらないのか。当時の大経済学者たちが、よりどころとしたのが「貨幣数量説」だった。

「物価は貨幣数量(マネーサプライ)に比例する」という貨幣数量説は、名目物価の持続的上昇/下落であるインフレ/デフレはいずれも「貨幣的な現象」であると言い換える。つまり、マネーサプライを十分に増やせば、必ずデフレは止まり、インフレに転じるはずだとする。

しかし、1890ー96年にイギリスではマネーサプライは増大したのに、物価は下落した。こうした事実に基づき、ケインズは物価下落の主因は投資が落ち込んだ事
だと主張し、貨幣数量論を捨てた。貨幣数量説はデフレの解明に成功を収めたとは言えないのである。

超短要約

多くのモノやサービスの価格が揃って下落し続けるデフレは「貨幣的な現象」である。だから、デフレを説明する上で最も重要な変数はマネーサプライだ。こうした経済学の背後にある理論は「国際標準」の理論、「貨幣数量説」である。デフレを止めるために、日銀はインフレ・ターゲットを掲げてマネーサプライを増やせ、というのがスタンダードなマクロ経済学の考え方である。

金利がゼロでなければマネーサプライの増加は、利子率の低下をもたらす。それは利子率の変化に感応的な投資や消費を刺激して、経済にプラスの影響を与えるだろう。しかし、ゼロ金利の状態では話が違ってくる。実際、これまでマネーサプライを増やしても、それが実体経済にプラスの影響を与え物価を上昇させる、という事はなかった。マネーサプライの増加が十分でないとか、やり方が悪いというような議論は、説得力に欠ける。

「国際標準」の経済学に基づく政策提言が「空振り」に終わったのは、経済学に問題があるからである。1990年代の日本経済に対する処方箋として、「期待インフレ策」の基礎とすべき理論は「クルーグマン・モデル」である。しかし、これには2つの重大な問題がある。

①期待インフレの創出
足許のデフレが逆に期待インフレを生み出すというのは、理論の中でのみ起こりうる倒錯した論理であり、現実には起こり得ない。問題は、デフレの下で、いかにインフレ期待が生まれるかだ。

②利子弾力性の問題
モデルでは、実質利子率が低下すれば、消費など需要が速やかに増大する事になっている。しかし、日本経済の問題は、不確実性の異常な高まりの中で弾力性が低下し、政策が無効になる点にある。利子率が下がったにもかかわらず、現実には投資を減らす企業もたくさんある事は言うまでもない。

「期待」は、株など資産市場や、原油をはじめとする一次産品の市場で、大きな役割を果たす。しかし、そもそも価格や賃金の決定において、将来に対する「期待」の出番はあるのか。普通のモノやサービスの価格や賃金の決定においては、「期待」が入り込む余地はほとんどない。「将来××だろうから」価格を上げるとか、「将来××になるはずだから」賃金を下げる、というような事はあり得ない。なぜなら、将来の事はわからないから、売り手と買い手の間で将来の関する「期待」が一致する事はないからである。普通のモノやサービスの価格、賃金の決定の原理は「公正(売り手と買い手が、その価格を妥当だと考えるか)」である。

著者 吉川 洋

1951年生まれ。東京大学大学院経済学研究科教授 1978年米国ニューヨーク州立大学助教授、1982年大阪大学社会経済研究所助教授、1988年東京大学経済学部助教授、1993年東京大学経済学部教授を経て現職。 2001年~2006年および2008年~2009年経済財政諮問会議民間議員。2008年社会保障国民会議座長。2010年~財政制度等審議会会長。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
第1章 デフレ論争―デフレの何が問題なのか p.1 26分
第2章 デフレ20年の記録 p.39 26分
第3章 大不況1873‐96 p.77 14分
第4章 貨幣数量説は正しいか―リカードからクルーグマンまで p.97 35分
第5章 価格の決定 p.149 15分
第6章 デフレの鍵は賃金―「なぜ日本だけが?」の答え p.171 16分
第7章 結論―迷走する経済学 p.195 18分

キーワード

デフレ

デフレーションの略。物価が持続的に下落していく経済現象を指す。対義語は、物価が持続的に上昇していく現…

リフレ

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