地球物理学者である著者が、知的創造とはどういう事かを解説。最近の科学研究では、データ観測の精度ばかりを追求する傾向があり、創造性が発揮されていないと指摘する。
■創造とは組み合わせること
科学研究で最も大切な事は、研究の創造性である。創造とは無から有が生じる事と誤解している方が多い。しかし、科学哲学では「科学創造とは、すでに知られている2つ、またはそれ以上の事実、または理論を関連づけて新しい学問体系を打ち立てること」と定義され、それは即ち「統合すること」なのである。
創造とは2つのものを組み合わせる事であるが、その2つの事実が、特に相互に全く関係がないと思われているものであればあるほど、その創造性は高いとされる。科学史上、最も創造性の高いものはダーウィンの進化論であろう。アメーバから人間を含めた全生物の存在を進化という概念で統合し、新しい学問体系を創造したのである。
この創造性の定義は科学だけではなく、芸術、政治、新製品開発、あらゆる人間活動にも当てはまる。
学問の創造とは、多くの観測事実を独創的に組み合わせ、統合し、新しい理論体系を打ち立てる事であり、企業では、2つまたはそれ以上のものを組み合わせて新製品を作る事だ。創造とは無から有を生み出す事ではない。
著者 赤祖父俊一
1930年生まれ。地球物理学者 アラスカ大学フェアバンクス校名誉教授 1964年アラスカ大学地球物理研究所教授。1986〜1999年までアラスカ大学地球物理研究所所長。2000〜2007年までアラスカ大学国際北極圏研究センターの所長を務めた。オーロラの研究で知られている。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
帯 堀場製作所最高顧問 堀場 雅夫 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
プロローグ | p.5 | 7分 | |
第1章 科学、企業、芸術でもっとも大切なこと | p.27 | 17分 | |
第2章 自然科学方法論の常道 | p.57 | 11分 | |
第3章 「とんでもない」ことを「とんでもある」ことに | p.77 | 20分 | |
第4章 パラダイム・創造性・科学革命 | p.113 | 20分 | |
第5章 何が起きているのか(統合解析の重要性) | p.149 | 17分 | |
第6章 では、どうすればよいか | p.179 | 14分 | |
エピローグ | p.205 | 11分 |
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