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2013/05/02更新

知的創造の技術 (日経プレミアシリーズ)

160分

3P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

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データを揃えても創造は生まれない

創造は容易ではない。それは、我々が常に無意識の内に固定観念、既成概念にとらわれてしまうからである。すでに確立されている固定観念をパラダイムと呼ぶ。科学の最前線とは、古いパラダイムを打ち壊し、新しいパラダイムを確立する事である。

多くの研究者は、難問に遭遇すると「より質の高いデータ、空間・時間の分解度の高いデータが必要である」と結論付けてしまう。そして、それが得られても、組み合わせる事を知らなければ、また同じ事が繰り返される。精度を上げる事ばかり考えても、現象の理解にはつながらない。組み合わせてみる努力が必要なのである。

「統合」こそが創造の入口である

まず何をするにも、一応常道は心掛けておかなければならない。自然科学研究における常道とは、以下の順序である。

①まず多くの観点から観測・実験を十分に行う
②実験・観測事実を「統合」し、物理、化学等の基礎知識に基づき仮説を立てる
③その仮説を定量的に立証する

科学者の中には、科学するという事は、観測する事(第一段階)と定量化する事(第三段階)、即ち客観的作業であると思い込んでいる者が多い。それは、第二段階の統合が極めて主観的作業だからである。しかし、この第二段階の統合こそ、科学をするにおいて最も大切な段階であり、最も創造性を発揮できる場である。観測も定量化も、統合のための要素であるとさえ言える。

周囲の「とんでもない」に解決策がある

組み合わせる事は簡単だと多くの人は思うかもしれない。しかし、この作業は2つの理由から困難である。

①困難に直面した場合、誰でも問題を現在の知識の延長戦上で解決しようとする
②既成概念や過去の成功があるからこそ、新しい組み合わせが奇異に思われる

「とんでもない」という言葉は常識からはずれている場合に使われる。それを「とんでもある」事にするという事は、既存の常識を破って新しい常識を打ち立てる事である。この時、最初から皆が認めてくれる事は、まずない。しかし、創造の観点から見た時にはむしろ「とんでもない」という反応の方がよい場合がある。直ちに「なるほど」と簡単に受け入れられるものは、よい解決策ではないかもしれないからだ。

脳が探索モードになるまで考え抜け

ひらめきは、1つの問題を1年でも10年でも徹底的に死ぬ思いで突き詰めた後にはじめて起こる。突き詰めても問題が解けない時、散歩や釣り、友人との全く関係ない会話などから解がひらめく。

人間の脳は、徹底的に考え抜いた後は常に探索モードにある。別の事を考えている時にも、そのモードは続いていて、何かの瞬間にひらめくのである。大事な事は、統合解析を必死に行って、脳が探索モードになるまで考え抜く事である。