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経営の目的は従業員の幸福にある

経営者は自分の会社を守って、発展させていく役割がある。会社の中には従業員がたくさんいるから、従業員の生活を守っていくために会社を守り、かつ伸ばしていく。これこそが経営の目的である。

ところが、従業員に安い給料で働いてもらって「儲かった分は全部自分のものだ」と贅沢をしてきた経営者も多い。私利私欲のため経営するのではなく、従業員の幸せのために経営するのだと考え方を改める。そのためには使用人ではなく、パートナーという位置づけにしないといけない。そうして従業員みんなの力を合わせる事ができれば、仕事はいくらでも見つかる。

京セラ創業当初、会社経営の目的は「稲盛和夫の技術を世に問うこと」だった。ところが、従業員が数十人の規模になると、従業員が不満、不安を言ってくるようになった。出来たばかりの会社で食堂も何もない、そんな会社に将来があるのか、と。その時に採用したての従業員が「自分たちの将来を保障してくれ」と訴えるような会社でいいのだろうかと気付いた。中に住む従業員が、「この会社に入って本当に良かった。きっと将来の生活も安定するだろう」と思ってくれる会社にする事が一番大事ではないか。こうして「全従業員の物心両面の幸福を追求する」という企業理念を掲げた。

アメーバ経営

一般に中小企業がうまくいかないのは、経営者には経営者マインドがありリーダーとしての意識があるが、従業員は別の事を思っているからである。従業員は、給料がこれだけもらえると募集があったから会社に入ったのであって、会社がどれくらい儲かっているのかという事にはあまり関心がない。そういう利害が反する人をうまくまとめて、どう収益を上げていくか。それが経営者の力量だ。

組織を細分化して、経営のトレーニングをすると、従業員の意識は経営者に近づく。小さいながらも組織を取り仕切っていくと、ゲームみたいな面白みがあり、経営者マインドが育つ。これがアメーバ経営である。

従業員の中には「自分は他人から言われた通りにやっていきたい」という人もかなりいる。そういう人をどう燃えさせるか、というのも社長の役割。能動的ではない人を積極的な人に変えていくにはどうするか。自分が頼られていると思うと、人間は応える。「頼むよ」と言って、頼られているという認識を持たせる。

経営というのは一握りの経営陣がいくらしゃっちょこばってやってみても知れている。けれど中に住む従業員が立ち上がれば千人力になる。従業員を奮い立たせるには、経営者が心からこのように強く訴える事だ。「会社の経営の目的は、中に住む全従業員の幸せを追求する事です。それ以外には一切ありません。だから皆もこういう考え方でもって一緒に協力をして下さい」と。