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2013/11/01更新

日本の財政 (中公新書)

230分

6P

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日本の財政再建に本当に必要なこと

景気が回復しても、それだけでは財政再建はできない。これまで、幾度となく失敗してきた財政再建の根本的な問題を示し、その処方箋を提示しています。


■財政赤字は景気だけの問題ではない
日本経済がデフレを脱却し、成長路線に戻れば、財政赤字や借金の問題はすぐに解決するだろうか。残念ながら、それほど単純には考えられない。これまでも幾度となく財政再建が試みられているが、そのほとんどは成功していないからだ。1990年代以降現在に至るまでの間には、好景気があったが、好景気でも財政赤字は生じている。財政赤字は景気だけの問題ではない。

多くのOECD諸国は、1990年代に財政再建を進め、財政収支は劇的に改善した。しかし、2000年以降、そのOECD諸国で再び財政が悪化している。アメリカ、フランスなどの大国を中心に財政赤字が拡大する一方で、オーストリア、カナダ、スウェーデンなどは、リーマン・ショック以降も財政はそれほど悪化していない。

なぜ、ある国は財政黒字を維持する事ができ、ある国は維持できないのか。それは、経済要因だけでなく、予算制度が問題なのである。

超短要約

■財政再建の3つの課題
財政再建とは、経済や財政だけの問題ではなく、国の統治に関わる問題である。財政再建のためには、特に次の3つが重要である。

①危機感の共有
財政再建に成功した国では、財政規律を高めるために予算制度が改革されている。それは改革に向けて国民的なコンセンサスができたからである。財政赤字は、言い換えると、政治家、官僚、国民が改革を回避してきた結果である。今の日本で最も欠けている事は、危機感の共有である。

②予算制度改革
財政再建に必要なのは、予算制度や公務員制度などの改革であり、政府のガバナンスを高める事である。財政規律を高める観点から、次の3つが重要である。

1.拘束力のある中期財政フレームと支出ルールに基づき、毎年の予算を編成する複数年にわたり支出にシーリングを設け、新たな支出には、財源の手当てを義務づけるルールを課す。

2.独立財政機関を設置する。財政規律を維持する事が難しいのは、楽観的な成長率、会計上の操作など、政治的なバイアスが働くからである。これを是正するため、専門家で構成される委員会や行政組織を設置する。

3.財政運営の枠組みを規定する財政責任法を制定する。

③社会保障制度改革
日本の経済社会の当面の課題は少子高齢化を乗り切る事である。そのためには、財政の中身、社会保障制度にメスを入れる必要がある。消費税を増税し、一般財源を社会保障制度になし崩しに投入する事は、何ら問題解決につながらない。費用対効果を低下させるだけである。

著者 田中 秀明

1960年生まれ。明治大学公共政策大学院 教授 1985年同年大蔵省(現財務省)入省。1991年ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス大学院修了。オーストラリア国立大学客員研究員、一橋大学経済研究所准教授、内閣府参事官などを経て、2012年より明治大学公共政策大学院教授。 政策研究大学院大学博士。研究分野は、公共政策・財政・マネジメント、予算・会計制度、公務員制度、社会保障政策、高等教育政策。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
第1章 財政悪化の軌跡―危機を深めた二〇年 p.3 28分
第2章 財政赤字の政治経済学―問題は政治家か制度か p.43 13分
第3章 先進国の財政再建―失敗した国、成功した国 p.61 50分
第4章 日本財政が抱える病理―財政規律と予算制度 p.133 43分
第5章 予算と政治―ガバナンスの強化 p.195 29分
終 章 日本財政の展望―三つの課題 p.237 15分
あとがき p.259 3分

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