スターバックスのブランドはどのように築かれたのか。
スターバックスのこれまでのマーケティング戦略や考え方がまとめられている1冊です。
■人々に奉仕する
90年以前に成人した米国人にとって、コーヒーは「必需品ではあるが、到底楽しめるものではない日用品」でしかなかった。ほとんどの人が朝の活性剤として、あるいは昼食後の眠気覚ましとしてグイッと飲む以外は、一杯のコーヒーに大した期待を抱いていなかった。
スターバックスが意義深いのは、米国の人々、そして世界中の人々のコーヒーに対する考え方を、コーヒーは楽しむものだというものに変えるという途方もない目標を達成した事だ。スターバックスには世界を変えるという使命があった。ただ物を売って儲けるのではなく、ささやかではあるが有意義なやり方で人々の生活に潤いを与えたかった。この「人々に奉仕する」という精神が、スターバックスの成功の要なのである。
そして、スターバックスというブランドを築いたものが、今なおマネジャーやバリスタから受け継がれていて、スターバックスの社内文化の細部に行き渡っている「ルール」である。
■「どこにでもあるもの」を「他にはないもの」に変えよ
ブランドに対するロイヤリティが顧客に根付くと、「どこにでもある」が「他にはない」に変わる。スターバックスの品質に対する頑なまでのこだわりは、豆の選定、時間をかけて深煎りにローストする工程、パッケージ、ドリンクそれぞれの入れ方に及び、そのおかげで濃密なファンを獲得した。コーヒーの水準を引き上げ、顧客がコーヒーに求めるものを変えた。
■評判は「つくりあげる」ものではない
スターバックスブランドはスターバックスの高い理想から生まれた。それは、企業の成長の必要条件としてというよりは、事業の副産物として生まれたようなものだった。
スターバックスはお客様を大事にする気持ちから、お客様を「判断力」と「見る目」のある個人として扱う。この気遣いは、最高のコーヒーを追求して提供するだけにとどまらず、店舗デザインといった細部にまで行き渡る。そして、好意的な評判が立つと、顧客の基盤が河まるだけでなく、企業理念に賛同し、熱烈に支持したいと思ってくれる素晴らしい人たちをも惹き付けるという好循環が生まれる。
■低価格戦略は結局高くつくと心得よ
スターバックスが販売するドリンクには90%以上の十分な利幅があるので、顧客エクスペリエンスに力を入れる事ができる。低価格戦略ではこうはいかない。
商品やサービスの質と顧客エクスペリエンスの質で勝負し、成功しようと望む企業にとって、お客様との本当の繋がりをつくるチャンスは、一度きりである。その一度で商品やサービスに、価格に合うだけの価値があると認められたら、お客様はその価格を高いと感じなくなる。スターバックスのつくる1杯のコーヒーが、まさにその「一度」だった。
スターバックスが価格を売りにしないのは、低価格戦略をとると、コーヒーそのものに対する評価が下がり、「ただのコーヒー」になってしまう可能性が高いとわかっているからだ。
■出店が最大の広告である
スターバックスのロケーショニング戦略は「中心の中心に」と呼ばれるもので、不動産担当部門は、人目につきやすい、往来の多い角地の中から、店舗を構えるのに最適な場所を選び出す。スターバックスが店舗の拡大を始めた頃、一番お金をかけたのがロケーショニングである。
目立つロケーショニングに加えてテイスティングや口コミが功を奏し、スターバックスは独特の宣伝方法で注目を集める存在となった。これこそ最高のマーケティングだ。
店そのものが広告塔であるという考えは今でも変わらない。店舗は顧客に買いたいという衝動を起こさせるきっかけだとスターバックスは位置付けている。
著者 ジョン・ムーア
コンサルタント スターバックスで8年間、マーケティングプログラムの作成と実行に携わる。その後、大手スーパーマーケットのホールフーズマーケットのマーケティングを経て、現在はコンサルタント会社を主宰。 小さい会社の心意気と活動をもって、より大きな成長を遂げてもらうべく企業のサポートを行っている。企業や大学などでの講演多数。人気マーケティングブログ「Brand Autopsy」も運営している。
帯 元スターバックスコーヒージャパンCEO 岩田 松雄 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 3分 | |
第1章 スターバックスのマーケティング&ブランディングに学ぶ | p.15 | 47分 | |
第2章 スターバックスのサービスに学ぶ | p.121 | 36分 | |
第3章 スターバックスの人材育成に学ぶ | p.201 | 34分 | |
BONUS TRACK | p.277 | 3分 |
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