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2014/05/29更新

だから日本はズレている (新潮新書 566)

156分

3P

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日本の大人たちが勘違いしていること

クール・ジャパン戦略、ネット炎上騒動、就活カースト、働き方論争、脱原発デモ、リーダー待望論、ノマドブームなどをテーマに、この国の勘違いをまとめた1冊。


■「リーダー」なんていらない
なぜ日本にはスティーブ・ジョブズみたいなリーダーがいないのか。必要ないからだ。ジョブズなんて強いリーダーは、別にいらない。

日本には「強いリーダー」や「真のリーダー」がいないと言われる。それは別に嘆く事ではなくて、むしろ喜ぶべき事だろう。強いリーダーがいなくても大丈夫なくらい、豊かで安定した社会を築き上げてきた事を誇ればいい。首相が毎年のように替わってきた事を、もっと自慢してもいいくらいだ。「日本は一国のトップが誰であろうとも、政治も経済も問題なく回っていくほど成熟した国家なんだ」と。

もっとも、そんな時代が終わろうとしているという認識が正しいかもしれない。国の借金、原発問題、高齢化。残念ながら、もはやこの世界は「強いリーダー」で解決できるような、わかりやすい仕組みでは動いていない。現代において国家という単一の組織のリーダができる事は限られているからだ。

超短要約

■「テクノロジー」だけでは未来は来ない
テレビ、冷蔵庫、洗濯機、デジカメなど多くの家電の基本機能はとっくに技術的に成熟してしまった。まだ家電が開発途上であった時は「このテレビの方が画面がきれいだ」といったように、商品ごとに「性能」の差があった。しかし今や、どのテレビを買っても画質は素人目には大きく変わらない。

そんなコモディティ化した業界では、価格競争が始まってしまう。そこで、日本の家電メーカーは頑張って何とか付加価値を付けようとする。しかし、その戦略は3つの意味でうまくいっていない。

①誰もそんなの欲しがっていない
②製品としての「本質」がおそろかになっている
③製造業における世界的なパラダイムシフトに乗り遅れている
(製品単体の満足度ではなく、サービス全体の体験でモノが選ばれる時代に)

■「ソーシャル」に期待しすぎるな
ソーシャルメディアを活用した企業バッシングに、企業側は過度に怯える事はない。そもそも不買運動なんて、ソーシャルメディアが発達する前から普通に起こっていた。例えば1970年には消費者団体による松下電器をはじめとしたカラーテレビの不買運動が大きな盛り上がりをみせていた。30万枚ものビラが配られ、ボーナス時期にも徹底的なテレビの買い控えが呼び掛けられ、結局松下電器側が新製品の定価を2割下げる事を決定した。

アマゾンレビューを荒らす花王の不買運動なんてかわいいものだ。ソーシャルメディア時代の企業バッシングは、原理的に、インターネットさえなかった時代よりも手緩くならざるを得ない。ソーシャルメディアにおける「共感」というのは、冷めやすいのだ。一瞬、マスコミの不正に怒り狂ってニコニコ動画やブログを使って何かを書き散らしても、その気持ちは長く続かない。さらに、人々に「何かした」感を気軽に与えてしまう。つまり、ソーシャルメディアがガス抜き装置になって、1970年代のような大規模な不買運動の可能性が抑制されているのだ。

企業が実は真剣に考えなくてはならないのは、ソーシャルメディアの影響力の低さだ。ソーシャルメディアをいくら活用したところで、それがマスメディアを使った広告宣伝の代わりには、決してならない。

著者 古市 憲寿

1985年生まれ。社会学者 東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍 慶應義塾大学SFC研究所訪問研究員(上席) 有限会社ゼント執行役 2003年慶應義塾大学SFCへ進学。入学当初はデザイン、CG、建築などアートっぽいことばかり勉強していたが、たまたま小熊英二の授業を履修してから社会学に興味を持つ。2005年から就職活動から逃亡するようにノルウェー国立オスロ大学へ1年間の交換留学へ。 2007年、SFCで出会った友人に誘われて有限会社ゼントで働きはじめる。同時に、東京大学大学院へ進学。ミーハー感覚で履修した本田由紀の授業で若者と労働に興味を持つ。 そして起業家論で修士論文を書こうと思っていた矢先、2008年になぜかピースボートに乗船することになる。そこでの経験があまりにも面白くてそのまま修士論文にしてしまう。さらに本にまでしてもらった。学術論文ともエッセイともルポとも言えない内容が賛否両論を呼ぶ。 現在は、大学院で若者とコミュニティについての研究を進めるかたわら、有限会社ゼントでマーケティング、IT戦略立案等に関わる。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに 不思議の国の「大人たち」 p.3 2分
「リーダー」なんていらない p.11 11分
「クール・ジャパン」を誰も知らない p.31 13分
「ポエム」じゃ国は変えられない p.55 12分
「テクノロジー」だけで未来は来ない p.77 13分
「ソーシャル」に期待しすぎるな p.101 10分
「就活カースト」からは逃れられない p.120 8分
「新社会人」の悪口を言うな p.135 9分
「ノマド」はただの脱サラである p.152 8分
やっぱり「学歴」は大切だ p.167 8分
「若者」に社会は変えられない p.183 11分
闘わなくても「革命」は起こせる p.204 7分
このままでは「2040年の日本」はこうなる p.218 8分
おわりに 「おじさん」の罪 p.233 3分

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