今読むべき優良ビジネス書が
すぐ見つかり、読んだ本を
しっかり自分の知識にするサイト

本を検索する

カテゴリーから探す

人気のタグ

お知らせ


Android無料アプリ配信中
2014/09/25更新

路地裏の資本主義 (角川SSC新書)

164分

3P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

対象読者:

アマゾン詳細ページへ

資本主義の最終段階

資本主義とは、その信仰の上に成立している社会経済システムである。貨幣は本来的には、交換市場という空間の中だけで、万能性を発揮できるものであるにもかかわらず、貨幣に対する信仰は交換市場という現物のものを変質させて、身体性を失った貨幣市場というものをつくり出した。そこで交換されるのは、貨幣という商品だけであり、労働の結果生み出された実物としての商品ではない。ただ貨幣に対する信仰だけが、交換の尺度になった。もはや、労働を媒介とする事のない商品市場が金融市場というわけで、それこそが、資本主義の最も純化された形であり、私達は自然の慎み深さを忘れ去り、今は資本主義の純化の最終段階に立っている。

貨幣が生まれてこの方、人間の社会は、贈与・互酬的な共同体と、商品経済システムがアマルガムになった交換システムの上に築かれてきた。現代社会の中にも親子関係や、共同体の内部においては贈与・互酬的な価値観が生き残っている。人間の歴史は、この贈与・互酬的な交換システムを徐々に縮小する方向へ向かい、商品経済システム、契約による等価交換を拡大する方向へ向かって動いてきた。交換システムや人間観は時代と共に変化するが、それを進歩だという訳にはいかない。

お金で買えないものもある

私達が、あくせくと働く理由の大半は、お金儲けのためである。しかし、よく考えてみると、お金儲けのために働くというのも少しおかしな話である。お金にはどんな使用価値もない。交換価値があるだけである。私達は、そのお金を何かと交換したいと思っている。いつでも、何かと自由に交換できる状態を得るために働いている。

それでいて、本当は自分が何を欲しいのかについてよくわかっている訳ではない。いつの間にか「お金持ちである自分」が目標だというのでは、本末転倒である。効率化が最優先する時代において、最も貴重なものとは時間である。

日本の戦後は、経済発展をベースにした利便性と合理性の追求の歴史だった。コンビニの出現によって、私達はお金さえあれば1人でも生きていける利便性を獲得した。コンビニは24時間、いつでもお金さえあれば、必要なものと交換する事ができる全く便利な市場である。そこで必要なものは、お金だけであり、学歴も友人の助けも家族の協力も地域の人々との縁も不要である。

しかし、もしも私達がお金を持っていなければ、コンビニにとって私達は全く無縁の存在であり、どんな支援も、協力もしてくれない。その時にだけ、私達は気付く事になる。コンビニ生活では全く必要のなくなったもの、つまり友人の助けや家族の協力や、地域の人々の支援といったものが何であったのかということを。