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2015/02/17更新

今治タオル 奇跡の復活 起死回生のブランド戦略

136分

2P

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ブランディングで大切なこと

存亡の危機にあった今治のタオル産業。その今治タオルをブランディングによって、復活させたクリエイティブ・ディレクターの佐藤可士和氏が、その戦略について語った一冊。


■ブランディングとは
クリエイティブ・ディレクションという仕事は、自分自身のやりたい事を形にする事ではない。主体はあくまでもクライアントだ。仕事を受けて最初に必ずやらなければならないのは、クライアントへの問診を重ねること。抱えている問題を明らかにすると同時に、まだ表に出していない熱い思いや本心を引き出していく。それがクリエイティブ・ディレクションの第一段階になる。

そして、クライアントの思いを具現化し、世の中にきちんと伝え、社会の中でより良いポジションを獲得するための方法を考え、実践していくのが、ブランディングという作業になる。「本質的価値」×「戦略的イメージコントロール」=「ブランディング」という作業である。

超短要約

四国タオル工業組合から依頼されたブランディング・プロジェクトは、勝算がなかった。厳しい状況を挽回するためのアイデアは出せる。しかし、いくら効果的な戦略を考えたとしても、それを実行できないのではないかという不安が大きかった。

最も大きな問題は予算。大手企業がブランディングに投入する金額に比べたら、このプロジェクトで使える予算はケタ違いに少なかった。何かを社会に浸透させるには費用がかかる。どんなプロジェクトでも限られた予算で最大限の効果を得られるように綿密な戦略は立ててはいるが、それでも今治タオルの予算規模はあまりに小さすぎた。

「よし、やろう!」という決断をさせたのは、今治のタオルそのものだった。やわらかくて、風合いが素晴らしく心地いい。使っていても、体を拭くという感覚じゃない。肌に当てるだけで、タオルが水気をどんどん吸い取ってくれる。品質の差がタオルにある事を今まで知らなかった事実に衝撃を覚えた。

今治タオルプロジェクトは、予算もなければ成功の保証もないチャレンジだった。インターナル・マーケティングで最も心がけたのは、小手先の応急処置で出血を止めるのではなく、「本質的価値」の力で瀕死の状態から脱却し、産地が一丸となって生き残る道を切り拓く意義を伝える事だった。

スタートから4年。今治タオルの取り組みは、著しい成果を上げた事例として多くのメディアに紹介された。プロジェクトがスタートしてから8年あまり、「今治タオル」のネームバリューは日本中に広く浸透し、バブル崩壊から18年連続で減少していた産地のタオル生産数量も、現在ではプラスに転じている。

ブランディングによって成長が期待できる地域産業や企業は、日本中に山ほど存在する。「いいモノをつくっているだけでは売れない」という現状は、本質をつかみ、丁寧に正しく伝えていく事で、「いいモノをつくっているからこそ売れる」という未来に変える事ができる。そして、伝えるべき価値と答えは、いつも相手の中にある。

著者 佐藤 可士和

1965年生まれ。アートディレクター・クリエイティブディレクター 博報堂を経てサムライ設立。明治学院大学、多摩美術大学客員教授、慶應義塾大学特別招聘教授。 国立新美術館のシンボルマークとサイン計画、ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブン、グローブライト、今治タオルのクリエイティブディレクション、NTTドコモ「FOMA N702iD / N703iD」のプロダクトデザイン、明治学院大学のブランディングプロジェクト、「カップヌードルミュージアム」や「ふじようちえん」のトータルプロデュース等を手がける。 ADC賞、毎日デザイン賞ほか受賞多数。

著者 四国タオル工業組合

愛媛県内のタオルメーカーによる業界団体。 主に愛媛県今治市・西条市・松山市のタオルメーカーが加盟している。 1976年のピーク時には500社のタオルメーカーが加盟していたが、近年は安価な中国・ベトナムなどのタオルの輸入が急増、タオルメーカーの倒産・撤退が相次ぎ2010年には125社まで激減している。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに――“奇跡の復活"はこうして始まった p.1 2分
第1章 「本質的価値」×「戦略的イメージコントロール」 p.14 10分
第2章 ブランディングを可能にした産地の奮闘 p.35 12分
第3章 ブランドは「つくる」よりも「守る」ほうが難しい p.59 16分
第4章 存亡の危機に立たされた今治タオル p.94 12分
第5章 産地復活を可能にした「白いタオル」 p.119 14分
第6章 集結し始めたタオル産地・今治の力 p.148 15分
第7章 今治から東京・南青山、そして世界へ p.179 17分
あとがき――わずか二パーセントが生んだ“奇跡" p.215 4分

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