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2015/05/07更新

トヨタ生産方式の逆襲 (文春新書)

164分

3P

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常識を疑う時の5つの着眼点

①会社の倉庫
品切れを起こす「欠品」と、売れないものが山積みされる「在庫過多」は、実は原因が同じである。原因は、製品の流れが「見える化」できていない事にある。仮に高額の設備投資をしても、何時何分に、どの製品がどのくらいの数量、どこの顧客に売れたのか、現場で正確に把握できないと、欠品や在庫過多は起こる。

欠品、在庫過多を解決するには、来た注文に対していかに敏感に反応できるかの、素早いレスポンスが重要である。顧客のために適正在庫を持った上で、在庫が減った状況に対して、いかに素早くきめ細かに反応する仕組みを作るかが重要である。

「在庫」を持たないという考え方は正しくない。売れるものについては在庫を持つべきだし、在庫を持つ事で売れ始める製品もある。「売れる機会の損失を防ぐために、いかに適正な在庫を持つか」が、トヨタ生産方式の真髄の1つである。

②外注コスト
外注のコストは本当に安いのか。人件費が安い外注を使った結果、賃金が高い親会社の経理部や購買部のホワイトカラーが増える事は、正しいコスト削減ではない。海外から部品や材料を運んでくると、リードタイムが長くなる。人件費を安く抑えたいのならば、自社工場内に外注企業に入ってもらい、リードタイムを短くしてモノを造るべきである。

③納期回答
最大の顧客満足とは「お客を待たせない」事である。この点を突き詰めれば「納期回答など不要」である。納期回答の正体とは「顧客に届けるまでに必要な時間」を宣言する事である。よって、短時間か長時間かの違いこそあれ、顧客を待たせる事には変わりない。顧客の要求に素早く対応できないという事は、顧客に我慢を強いているだけである。

④引き当て
引き当てとは、まだ商談段階で成約に至っていないものの、商談成立した際にすぐに出荷できるように、在庫製品に予め営業が「唾」を付けて、仮押さえする事である。引き当てという仕組みが存在するのは、不正確な需要予測に基づく見込み生産によって、欠品や在庫過多を引き起こすのが「常態化」しているからである。

⑤新製品への切り替え対応
余った資材を使い切るために、旧製品と新製品を並行して生産する企業は意外と多い。問屋に対しても旧製品は最低でも2〜3割くらいは値引きしないと出荷できない。小売の現場ではさらなる値引きが求められる。資材が余っているが故に、旧製品を造り続けて、旧資材を捨てないという、一見ムダのない行動を取っているように見えて、結局は損をする生産をしている。

業界の商慣習という「常識」を疑い、知恵を出し合い、仕組みを変える事ができれば、あらゆるカイゼンが実行可能になる。