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2015/09/23更新

私たちは今でも進化しているのか?

375分

2P

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人は今も進化している

約20万年前に生まれたとされる人間は、今も進化を続けている。急激な進化を遂げる生物の実例を紹介しながら、現代人も自然選択や文化的習慣によって、遺伝子に突然変異が起きて、進化していると説く。


■進化の速度には速い性質と遅い性質がある
私達は進化とは想像を超えた時間がかかるもの、ひれからうろこを持つ肢へ、そして親指を他の指と向かい合わせにできる手へといった小さな変化にも何百万年もかかると考えている。しかし、多くの研究室や機関による発見により、人間の進化は止まった訳ではないし、すべての進化が、何十万年もかかる訳ではない事が明らかになっている。ここ数年で、高地での身体機能やマラリアへの抵抗力などは、進化のスピードが速い性質のリストに加わった。進化のスピードには、速い性質もあれば、遅い性質もある。

ゲノムをはじめとする遺伝子工学の画期的な発展のおかげで、個々の遺伝子や遺伝子ブロックが、自然選択に対応して変化するスピードがわかるようになった。ヒトの遺伝子の多くが、たった数千年で変化したという証拠が次々と見つかっている。その一方で何百年も変わらないものもある。

超短要約

■人類には急速な進化に必要な素質が備わっているか
急速な進化に必要な1つ目の条件は、強力な自然選択だ。環境汚染や都市化のように人間由来の圧力である事も多いが、伝染病や洪水、飢餓によって、ふるいにかけられる事もある。そのため人類もこの条件を満たしている。

もう1つの条件は、そうした自然選択への対応を可能にする遺伝子だが、この場合はすべての遺伝子が等しく働く訳ではない。1つの遺伝子の変化による事もあるが、異なる場所にあるいくつかの遺伝子が共に働く事で生じる変化もある。

■人間は文化的習慣によっても進化する
乳製品を食料として利用する事は、遺伝子と人間の文化的活動が互いに影響し合うという実例である。人間は進化していて、それは最近でも続いている。

人間以外の哺乳類は一定年齢になればミルクを飲まなくなる。動物の種を問わず、ほぼすべてのミルクにはラクトース(乳糖)と呼ばれる糖が含まれている。ラクトースを消化するには、つまり体内で利用できる小腸でそれを分解するには、ラクターゼという酵素を必要とする。ラクターゼの生産能力は遺伝的に制御されていて、すべての哺乳類が誕生した時点で持っている。ところが人間以外のすべての哺乳類、そして大半の人間では、ラクターゼの生産が離乳直後から止まってしまう。成人のラクトース消化能力は、子供の約10%ほどしかない。ラクターゼが働かなくなってから、ラクトースを摂取すると、胃腸に不快な症状が現れる事が多い。一般的にラクターゼがない人にとって、乳製品はあまり望ましい食品とは言えない。

大人になってからもラクトース耐性を持つ人は、ラクターゼの生産を左右する遺伝子が働き続けている。これは酵素を減らす別の遺伝領域に突然変異があるためだ。この能力を持っている人は、北ヨーロッパ、アフリカ及び中東の一部だけで、世界の35%で少数の土地にかたまっている。この違いは急速な進化のせいだ。

ミルクを飲んでも胃腸の不調を招かない人が、ラクトース不耐性の人よりも高い率でその遺伝子を子孫に受け渡したため、ラクターゼ活性持続遺伝子が急速にヨーロッパに広まった。ラクターゼ活性持続遺伝子を持つ人々の繁殖成功度が3%上昇するだけで、300〜350世代後には、その遺伝子が広範囲に普及する。期間にすると約7000年で、進化の視点ではほんの一瞬である。つまり、人間のゲノムは文化的習慣によって進化するという事だ。

著者 マーリーン ズック

ミネソタ大学教授 カリフォルニア大学サンタバーバラ校で生物学を学ぶ。1986年、コオロギの行動と寄生者についての研究により博士号を取得。現在、ミネソタ大学教授。専門は進化生物学と行動生態学

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
序 文 速い進化と遅い進化 p.5 17分
第1章 マンションに住む原始人 p.24 25分
第2章 農業は呪いか、祝福か p.51 22分
第3章 私たちの眼前で生じる進化 p.75 27分
第4章 ミルクは人類にとって害毒か p.104 16分
第5章 原始人の食卓 p.121 24分
第6章 石器時代式エクササイズ p.147 29分
第7章 石器時代の愛とセックス p.179 29分
第8章 家族はいつできたのか p.210 28分
第9章 病気と健康の進化論 p.240 24分
第10章 私たちは今でも進化しているのか p.266 26分

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