今読むべき優良ビジネス書が
すぐ見つかり、読んだ本を
しっかり自分の知識にするサイト

本を検索する

カテゴリーから探す

人気のタグ

お知らせ


Android無料アプリ配信中
2015/10/22更新

サイエンス思考法 (ウェッジ選書)

139分

2P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

対象読者:

アマゾン詳細ページへ

物事を理解するための方法論

生物物理学者である著者が、サイエンスの考え方を簡単に解説。サイエンスの考え方は、一般的な物事の問題解決にも応用することができると説き、「知識」を「理解」に変える方法論を紹介する。


■サイエンス思考とは
サイエンス思考とは、物事を考える時の基本であり、日常のどんな場面にも応用できる考え方である。まず、理解しようとする、あるいは作ろうとする「全体」の範囲を、どこまでにするか決める。その上で、中に含まれるいろいろな「要素」を探し出し、すべてを頭に浮かべ、それらがどのような「相互作用」をし合って、全体を演出しているかを理解していく。ここで忘れてはならないのは、全体が置かれている「環境」との相互作用。つまり全体は「切り出した」とはいうものの、完全に周囲と切り離されて独立している訳ではない。

要するに対象を「全体」「要素」「相互作用」からなる三位一体のシステムと考える。それに「環境」の影響を入れて理解し、製作する。あるいは「全体・要素両方の理解の最適化」に持っていくのが、一般的なサイエンス思考である。

全体を広げ過ぎると内容がぼやける、しかし、狭くするとバランスが崩れる。何よりも発展がない。狭い話題は、問題がシャープに絞れるから議論は楽だ。一方、広く考えるには異質の物事の軽重を問わなければならないから難しい。

超短要約

■サイエンス思考の根幹
サイエンスは、自然界のデータが取りやすいものから始まった学問。最初は星空を見る天文。それがだんだん複雑なものを相手にするようになり、今のような幅広い対象を考える学問として広がってきた。観察してデータを取って理解し説明をする、というサイエンスの体系は昔から変わっていない。理解すると同時に、先を見通す事もできる。サイエンスは、物事を考える時の強力で万能なツールである。「サイエンス思考の根幹」とは次の通りである。

①対象をよく観察する
②正確で十分な情報(データ)を取り出す
③データ間の因果をつなぐ論理を見つける
④対象を理解し説明する最適の解決・解答(仮定・モデル)を出す
⑤高度に技術化された社会を、その仮定、モデルに基づいてスムーズに運転する
⑥将来を見通して予想、予言し、未来を開拓する

自然現象だけでなく、人間心理や社会現象のデータも取りやすくなった今、サイエンスの考え方は、経済や金融、人間社会一般にも通用するようになった。

■学問の原点
「秩序の発見」が、すべての学問の原点にある。なぜなら、秩序の背後には何らかの力が働いており、それを支配している原理や法則が必ず隠れていて、それこそが学問が知りたいと目指す相手だからである。

「秩序」とは、物事の関係がもたらす条理と規則性である。物事には、科学的、社会的、歴史的、芸術的、文学的など様々な方向があり、その切り口には大中小の「要素」群があって、それらの関係(相互作用)に秩序がある。秩序を持った構造全体を「システム」と呼ぶ。森羅万象は、それ自体が究極のシステムであると同時に、大小様々なシステムの集合体である。

■わからないことを怖れない
研究は、蛸壺に頭を突っ込んだようになると、考えが伸びないどころか縮んでしまう。新しいアイデアを出すにはお互いの「暗黙的な知」を引っ張り出して形ある「形式化された知」として共有する事が必要だ。そのために、自由闊達な会話と、それができる雰囲気醸成の溜まり場が不可欠になってくる。特に生命王国は暗黙知の宝庫だからである。

「天才は一を聞けば十を知る」と言われている。でも、何もない状態から九が生まれてくる訳ではない。今まで頭の中をふらついていて行き場のなかった九の暗黙知が、一を聞いた事で理解のきっかけを見つけ、その周りに集まってくる。そして、自分の新しい知識としてまとまってくる。だからこそ、わからない事を怖れてはいけない。できるだけたくさんの暗黙知を頭の中に入れておく事が大事である。

著者 和田 昭允

1929年生まれ。東京大学名誉教授 1971年 東京大学理学部教授、1989年同理学部長を経て、1998年から理化学研究所ゲノム科学総合研究センター所長、お茶の水女子大学理事を歴任。 現在、理化学研究所研究顧問、順正学園理事兼相談役、横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校常任スーパーアドバイザー等を務める。

この本を推薦しているメディア・人物

帯
JST研究開発戦略センター長 野依 良治

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに p.1 7分
序 章 化学から物理への越境 p.23 9分
第1章 サイエンス思考とは p.41 31分
第2章 森羅万象という時空の広がり p.103 15分
第3章 生命と人間 p.133 11分
第4章 科学と技術の歴史 p.155 17分
第5章 科学技術の広がり p.189 14分
おわりに p.218 1分

この本に影響を与えている書籍(参考文献、引用等から)

生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波文庫) 生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波文庫)
[Amazonへ]
寺田寅彦随筆集 (第4巻) (岩波文庫) 寺田寅彦随筆集 (第4巻) (岩波文庫)
[Amazonへ]
中谷宇吉郎随筆集 (岩波文庫) 中谷宇吉郎随筆集 (岩波文庫)
[Amazonへ]
方法序説 (岩波文庫) 方法序説 (岩波文庫)
[Amazonへ]
暗黙知の次元 (ちくま学芸文庫) 暗黙知の次元 (ちくま学芸文庫)
[Amazonへ]
新訂 孫子 (岩波文庫) 新訂 孫子 (岩波文庫)
[Amazonへ]

ユーザーのしおりメモ (0)