数々のヒット商品を開発する電通のクリエイティブ・コンサルタントが、イノベーションを起こすコンセプトのつくり方を紹介している本。脳みそだけでなく、身体的な感覚をも用いて、物事を考え抜く方法論を紹介しています。
■イノベーションを起こすにはコンセプトが必要
私達はコンセプト(概念)がなければ、何事も見る事ができない。コンセプトは経験的世界という暗闇から物事を照らし出す「サーチライト」である。面白いのはイノベーションが起こる時、このサーチライトが変わる事である。例えば、スターバックスは「サードプレイス」というコンセプトを開発した。それまでのコーヒーショップでは薄利多売のために回転率を上げる事が重要で、その手段として「居心地の悪い椅子」が常識だった。ところが新しいコンセプトはこれを覆し、くつろぐ場所にふさわしい「ソファ」という新しい常識を作り出した。
サーチライトの照らし直しこそがイノベーションである。つまり、イノベーションを起こしたいのであれば、常識を覆す「コンセプト」を作らなければならない。
「今の常識」を覆し、人の行動・習慣・価値観にもう元に戻れないような変化をもたらすイノベーションは、物事を新しいサーチライトで照らし直す作業である。そのサーチライトこそが「コンセプト」であり、「芸術は爆発だ」のように直感的に進むべき方向を共有できる言葉として表現される。
この「コンセプト」は残念ながら過去の分析をどれだけ客観的に積み上げてもつくる事ができない。書道家が「頭・目・手」を駆使して身体表現するように、イノベーションを求める人は脳みそと身体を両立させる思考方法を持たなければならない。
脳みそが中心的な役割を果たすのは「ビジョン」と「具体策(現実)」の対立を解消するための論理的思考。一方身体は「ターゲット」と「商品・サービス」を結び付けるために経験や直感といった主観を活用する役割を果たす。この2つの相互作用でつくられた「コンセプト」はターゲットの気持ちを強く動かし、その1つの行動・習慣・価値観にもう元に戻れないような変化をもたらす。
著者 山田壮夫
電通クリエーティブ コンサルタント コンセプトを核として、広告キャンペーンはもちろん、テレビ番組や店舗の開発から経営戦略の策定まで手掛ける。2009年カンヌ国際広告祭(メディア部門)審査員。 明治学院大学(経営学)非常勤講師
帯 一橋大学名誉教授 野中 郁次郎 |
マインドマップ的読書感想文 smooth |
帯2 47CLUB 代表取締役社長 栗田 健一郎 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.4 | 2分 | |
第一章 コンセプトは身体で考える | p.8 | 23分 | |
第二章 こびととつくるコンセプト | p.68 | 17分 | |
第三章 コンセプトをアーカイブしよう | p.111 | 10分 |
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