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2016/05/23更新

ハーバードの人生が変わる東洋哲学──悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (ハヤカワ・ノンフィクション)

198分

2P

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あらゆる人に等しく成長の可能性がある

孔子は、人類が繁栄した偉大な時代が、周の初期、自身の在世より500年ほど前に存在したと考えていた。自己を修養し、徳を高め、自分を取り巻く世界をよりよくする事につかのま成功した数人が統治した時代と捉えた。そして、これと同じ事をしようとした。自分の弟子が躍進できるような世界を築こうと試み、弟子の中に、もっと様々な人々が繁栄できる大きな社会秩序を生み出す人物が出てくる事を期待した。

中国の思想家は、みな孔子と似ている。みな一様にあらゆる人に等しく成長の可能性があると確信していた。思想家達は、鍛錬を積む事で極めて現実的で具体的になっていった。世界を変えるために何ができるかに意識を向け、現実的な問いかけから、立派な良い人間になる素質について、刺激的な発見を生んでいった。

礼を通して自分を変える

中国思想家の世界観は、人生のあらゆる局面が人とのとめどない交流も含め、すべて感情に支配されているという観念から生まれた。人間の性向は、他者に感情的に反応する事だ。人と人が出会い、無数の反応の仕方をし、感情を大きく揺さぶられる瞬間がひっきりなしに繰り返される。人のあらゆる出来事は、感情的な経験の世界に方向づけられる。

とはいえ、とめどない遭遇の中で反応に磨きをかけ、局地的に秩序を生み出す事ができる。感情の修養につとめ、他者に対する反応を磨けるようになれば、感情をむき出しにするのではなく、習得したふさわしい形で他者に応じられるようになる。反応を磨く手段は「礼」だ。

自分を変えるためには、通常のあり方を離れる事が、自分の様々な面を育てる事につながると気づかなければならない。礼には変化させる力がある。少しの間私達を別人にしてくれるからだ。礼はつかの間の代替現実をつくり出し、私達はわずかに改変されたいつもの生活に戻される。ほんの一瞬、私達は「かのように」の世界に生きる事になる。そして、それが当たり前の事になり、いつの間に無意識に実行するようになっていく。

重要なのは、あえて別の自分になりきる事だ。二人揃って代替現実に足を踏み入れた事を自覚して、自分の新たな一面を想像する。その体験の積み重ねが、長い時間と共にそれぞれどんな人間になっていくかにも影響を及ぼす。礼を繰り返す事で、各々が自分の多様な側面を開発でき、ひいては人生の他の人間関係をも向上させる事になる。

行動パターンを打破する「かのように」の礼を繰り返す人生を通じて、周りの人に親切にする術を感じ取る能力が身に付く。この能力が「仁」、即ち人間の善性である。仁は他者に対してふさわしい反応ができる感性といえる。細やかな感覚を磨く事で、周りの人のためになるよう行動し、その人達の良い面も引き出せる。