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2016/09/07更新

「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する

161分

12P

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大切なことは、多数決で決めてはいけない

多数決には致命的な欠陥がある。民意を問うために、物事の多くが投票によって決められているが、そもそもの「決め方」自体に含まれる問題を解説している一冊。


■民意は選挙結果からはわからない
提案する側の力は強い。問う案は潜在的にはたくさんあり得る。自分に都合の良い案を「これが皆様に最適な案です。さあ住民投票で認めて下さい」とやっているかもしれない。有権者の51%がその案を「まあいいか」と認めたら、強い民主的威信が与えられてしまう。でも別の案の中には、有権者の90%が高く満足できるものがあったかもしれない。多数決だと51%の有権者を押さえれば勝てる。だから提案する人は「51%以上の支持を受けそうな様々な案」の中で、自分に一番都合の良い案を持ち出すかもしれない。

そもそも政治家を選ぶことと、政策を選ぶことはイコールではない。選択の結果として起こることに、論理上の大きな隔たりがある。その乖離を示したのが「オストロゴルスキーのパラドックス」だ。

選挙では各党がマニフェストという政策集を発表するが、これは政策の「抱き合わせ販売」である。だから、直接選挙と間接選挙では結果が正反対になるというオストロゴルスキーのパラドックスのようなことが起こる。

超短要約

多数決は、人々の意思をまとめて集団としての決定を与えるのに、適しているのか。そもそも多数決は多数意見を尊重するのか。反例を1つ挙げると、2000年のアメリカ大統領選では、民主党のゴアが共和党のブッシュに優勢していたところ、第三の候補ネーダーが参戦。ネーダーはゴアの票を致命的に喰い、票の割れが起こってブッシュが逆転勝利をおさめた。しかし、ゴアとブッシュの比較ならば、有権者の過半数がゴアを支持していた。仮にアメリカ大統領選に決選投票が付いていたなら、ゴアが勝利していただろう。

2人以上の集団になると、人々がいかに丁寧な合意形成に努めても、少数意見をできるだけ汲み取っても、全員が同意する1つの結論に至れるとは限らない。だから集団にはある時点で決定を下す制度、決め方が必要になる。

多数決は決め方の1つ。これはよく使われているけれど、選択肢が3つ以上あると、票の割れの影響を強く受けてしまう。改良案や代替案は色々ある。改良案の1つは決選投票を付けること。代替案の1つは「1位に3点、2位に2点、3位に1点」といった配点式の仕組みにすること。

著者 坂井 豊貴

1975年生まれ。慶應義塾大学経済学部教授 横浜市立大学、横浜国立大学、慶應義塾大学の准教授を経て、2014年現職。人々の意思をよりよく反映させる選挙方式、物を高く売るオークション方式、人と組織を上手く結ぶマッチング方式といった制度設計の研究で、多くの国際業績をあげる。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに p.1 5分
第1章 民意は選挙結果からはわからない p.18 10分
第2章 「民主的な」決め方を考える――ボルダルール p.35 9分
第3章 一騎打ちで選択肢を競わせる――総当たり戦 p.50 7分
第4章 決め方が変わると歴史が変わる p.62 10分
第5章 決め方を精査する――ペア勝者とペア敗者 p.80 6分
第6章 ベストな配点を考える――スコアリングルール p.91 7分
第7章 「絶対評価」で決めるとどうなるか――是認投票 p.103 9分
第8章 多数決で正しい判断ができる確率――陪審定理 p.120 7分
第9章 多数決と暴力は何が違うのか p.132 7分
第10章 国会は多数決を正しく使えているのか? p.144 10分
第11章 法廷の「決め方」を分析する p.161 9分
第12章 費用分担をフェアに決める p.178 9分
第13章 「決闘への満場一致」は尊重すべきか p.194 4分
第14章 個人の自由と満場一致はときに対立する p.201 5分
あとがき p.210 2分

この本に影響を与えている書籍(参考文献、引用等から)

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