テーマパークの経営戦略を研究している著者が、ディズニーランドとユニバーサルスタジオの経営が成功するための要素を紹介している一冊。テーマパークには、夢や情熱、ロマンといったものが欠けると経営はうまくいかないと説きます。


■ユーロディズニーの低迷
世界のテーマパークランキングを見ると、ディズニーとユニバーサル・スタジオの2つが上位を占めている。さらに、この2つのグループの本拠地米国と、日本にあるテーマパークだけが大成功を収めている。そして、他国の状況は小さな成功でしかない。

ディズニー社は東京ディズニーランドの成功をふまえ、ユーロディズニーを1992年に開業。しかし、業績は当初の見込み通りになっていない。初期投資に莫大なコストをかけたことや、開業翌年からの入場者数低迷、客単価の低さに加え、近年ではテロの不安など加わって、2016年9月決算では、純損失が1000億円と過去最悪となった。

よいテーマパークは、よい道徳によって生み出される。
よいテーマパークは、夢、ロマン、情熱によって生み出される。
これらに不可能はない。

「当たり前のことを当たり前に行った」ことによって、「夢と魔法の王国」は、米国と日本でのみ大成功した。儲けたいという考えだけで、成功するほどテーマパーク事業は甘いものではない。ゲストのために、身を粉にして働く覚悟が必要で、そのために夢、ロマン、情熱が必要である。

著者 中島 恵

東京経営短期大学 総合経営学科 専門講師 明治大学経営学部助手、星稜女子短期大学専任講師、大阪観光大学専任講師を経て現職。 ディズニーランドやユニバーサル・スタジオを中心にテーマパークの経営戦略を研究している。