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2012/05/08更新

IFRSはこうなる―「連単分離」と「任意適用」へ

  • 田中 弘
  • 発刊:2012年3月
  • 総ページ数:248P

208分

2P

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IFRSの強制適用は遠のく

金融庁は、IFRS(国際会計基準)を日本の企業に強制適用するかどうかを、アメリカの決定に合わせて、2012年中に決める事とし、2015〜16年にはすべての上場企業に強制適用する事を想定していた。

しかし、新日鉄やトヨタ自動車、パナソニック等の大企業と日本商工会議所が連名で、IFRS強制適用延期を訴える要望書を提出したことで、想定が崩れてきている。また、アメリカがIFRSの採用に慎重になってきている。
すべての上場企業に強制適用という線は、ありえない話になったといって良い。

IFRSはM&Aを仕掛ける投資家のための会計

IFRSの特質は次の通りである。

①M&Aを仕掛けようとする投資家に対し、「身売り価格」を計算する会計である
②キャッシュ・フローの裏付けのある利益といった実現主義を否定
③「清算価値会計」「全面時価評価」を志向
④収益力情報よりも「処分価値情報」を重視
⑤細かい規定を設けない「原則主義」に立脚。経理の自由度が高くグレーな報告も可
⑥法や基準が経済的実質に合わない時は、その基準の離脱が義務付けられる
⑦連結財務諸表にだけが適用対象

つまり、IFRSは、M&Aを仕掛け、企業の解体利益を狙う投資家のために企業の「身売り価格」を計算するためのものである。

IFRSはものづくり企業に適さない

従来、世界の会計は、製造業や流通サービス業を想定し、1期間に実現した収益(売上高)を計算し、その収益を獲得するために費消した費用を差し引いて当期の純利益を計算してきた。つまり、「収益費用アプローチ」と「原価・実現主義」をベースとした会計である。

これは、年間を通して安定的な事業を営み、中長期にわたって継続的な経営を続ける「ものづくり」企業の会計に最もふさわしい。

一方でIFRSは、「当期純利益」というコンセプトすらない。IFRSによる財務諸表は、企業活動の成果である利益の報告よりも、企業の清算価値を表示することに重点が置かれている。
これは、IFRSを主導してきた英米が、「ものづくり」から「金融」に軸足を移し、M&Aを行う投資家を想定しているためである。

IFRSはこうなる

①連単分離
世界の主要国ではIFRSを連結だけに適用している。日本では個別財務諸表に適用するかの議論を繰り返してきたが、そもそも連結財務諸表は、「投資者に対する情報」である。IFRSが想定する投資家から資金を入手したい企業が、IFRSで連結財務諸表を作成・公表すればよい。

②任意適用
IFRSを採用するかどうかは、各企業が投資家などのニーズをくみ取り、IFRSによる財務諸表のニーズが高ければ、任意に対応すれば良い。IFRSと日本基準適用企業が併存するのは非現実的ではない。