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情報の産業革命が、これから人類の未来を劇的に変えていく

ビッグデータが社会にもたらす影響の本質を論じた1冊。あらゆる人間の行動がデータとして蓄積されてきた社会において、これからはデータ分析が社会に大きな影響をもたらすと説く。


■検索データからインフルエンザ流行を予測したグーグル
グーグルでは、全世界で1日に30億件以上の検索が実行されている。グーグルはまず米国人が検索時に入力した言葉のうち、上位5000万件を抽出した。そして2003〜2008年までの季節性インフルエンザの流行に関するCDC(疾病予防管理センター)のデータとの相関関係を調べた。

人々がインフルエンザ情報を探す時は「咳の薬」や「解熱剤」といったキーワードで検索するはず、とグーグルのチームは推測した。各検索語の使用頻度と、インフルエンザ感染の時間的・空間的な広がりとの間の相関関係の有無を見ていた。グーグルは合計4億5000万にも上る膨大な数式モデルを使って検索語を分析し、CDCが提供している実際のインフルエンザ症例とグーグルの予測を比較検討した。そこで彼らは、特定の検索語45個と、ある数式モデルを組み合わせた時、データに高い相関関係が見られる事に気付いた。その結果、2009年に新型インフルエンザの危機に見舞われた際、報告手順に遅れが生じる公式データよりも、グーグルの方がはるかにタイムリーで有効な指標になる事が判明した。

超短要約

■航空券の価格を予測する男
大量のデータがあれば、斬新な方法で情報を活用し、新たな知見や価値ある製品・サービスを生み出す事ができる。

2003年、米国屈指のコンピュータサイエンス研究者オレン・エツィオーニは、シアトルからロサンゼルスまでの航空券を購入する事になった。早く予約した方が安上がりと考え、数ヶ月前に購入したが、隣の客はごく最近購入したにもかかわらず、自分よりも安く手に入れていた事にカチンときた。

エツィオーニは、オンラインで販売されている航空券の価格が好条件かどうか判断する方法を模索し始めた。特定路線についてすべての航空券の販売状況を分析し、出発までの残り日数と価格の相関関係を調べればいい。こうして乗客が大幅に節約できる予測モデルを開発し、この研究はフェアキャストというベンチャー企業へと発展する。やがて、フェアキャストは約110億円でマイクロソフトに買収された。

■ビッグデータの未来
ビッグデータは我々の暮らしや仕事のあり方、考え方まで変えようとしている。ビッグデータ時代が成熟すれば、相関分析による新たな洞察力が生まれ、予測の効果が高まる。相関を使って「理由」よりも「答え」を問うようになれば、世の中を理解する一助となる。

その一方でビッグデータには大きなリスクもある。現在、プライバシー保護に使っている技術的・法律的な仕組みが骨抜きになるのだ。どう見ても無害のデータでも、大量に集めれば個人を特定できてしまう。

プライバシー侵害の懸念に加えて、ビッグデータの利用は別の厄介な問題につながる。人を見る時に、実際の行為だけでなく、データが示唆する、その人物の特徴や性格・習性までも判断材料にしてしまう危険性だ。ビッグデータによる予測の精度が上がるにつれて、社会が個人に対していわれなき制裁を加える恐れがあるのだ。その制裁の理由とは、ビッグデータで予測される行為であって、本人が実行してもいない行為である。

来るべきビッグデータの世界に万全の備えとなる絶対確実な方法はない。まずは我々自身の暴走を防ぐために、責任あるデータ利用の原則を確立する必要がある。

著者 ビクター・マイヤー=ショーンベルガー

オックスフォード大学オックスフォード・インターネット研究所教授 ハーバード大学ケネディスクール(行政大学院)で10年にわたって教鞭を取った後、現職。専門はインターネットのガバナンスと規制。 ビッグデータ分野の世界的第一人者として知られ、著書も多い。2009年の『Delete: The Virtue of Forgetting in the Digital Age』は、誤ったデータでもネット上には永遠に残ってしまう現状を指摘し、「忘却される権利」という概念を提示。メディア界や法曹界から注目を浴びたほか、『ニューヨークタイムズ』紙や『サイエンス』誌などでも高く評価された。マイクロソフトや世界経済フォーラムなど多数の企業や団体の経営諮問委員を務める。

著者 ケネス・クキエ

英『エコノミスト』誌 データエディター 『ウォール・ストリート・ジャーナル・アジア』の技術担当エディター、『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』などを経て現職。 ビッグデータの最新事情に関するさまざまな記事を手がける。2010年に同誌に掲載したスペシャルレポート「The Data Deluge」(データの洪水)は、一般読者向けとしては初のビッグデータ関連記事となった。 2002~2004年、ハーバード大学ケネディスクールの客員研究員。米国のシンクタンクなどで構成される超党派組織、外交問題評議会のメンバーも務め、『フォーリン・アフェアーズ』、『ニューヨークタイムズ』、『フィナンシャルタイムズ』など有力紙誌に寄稿するほか、CNNやBBCなどでレギュラーコメンテーターとしても活躍。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
第1章 世界を変えるビッグデータ p.9 19分
第2章 第1の変化「すべてのデータを扱う」 p.35 14分
第3章 第2の変化「精度は重要ではない」 p.55 18分
第4章 第3の変化「因果から相関の世界へ」 p.80 25分
第5章 データフィケーション p.115 26分
第6章 ただのデータに新たな価値が宿る p.151 27分
第7章 データを上手に利用する企業 p.188 27分
第8章 リスク ビッグデータのマイナス面 p.225 22分
第9章 情報洪水時代のルール p.255 13分
第10章 ビッグデータの未来 p.273 14分

キーワード

ビッグデータ

通常のデータベース管理ツールなどで取り扱う事が困難なほど、巨大な大きさのデータの集まりのこと。 …

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Nobumasa Hatakenaka

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2013-11-12