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映画作りの手法×恋愛ゲーム

1999年から携帯コンテンツを作り、それ以前には創業者の津谷氏が米国UCLAで映画作りの手法を学び、ドラマやストーリーに強みを持っていたのが、ボルテージである。一方で、新卒女性が持ってきた企画は、オタクな恋愛ゲーム。津谷氏はこのハリウッド文化とコミックマーケット文化の2つを掛け合わせる事に取り組んだ。

ボルテージの恋愛ゲームの大きな特徴は、ほぼすべてオリジナルで作られている事である。基本的にゼロからストーリー作りやキャラクター作りが行われる。ボルテージでは、コンテンツ制作における大きなテーマを決めている。それが「恋愛と戦いのドラマ」である。ここでの恋愛とは、男女の恋愛だけでなく家族愛や友情も含めた愛情の事を指す。戦いとは挑戦のこと。このテーマをベースとしたストーリー性のあるオリジナルコンテンツを目指している。

従来の恋愛シュミレーションゲームは、オタク的なコア層をターゲットにしたものが主流だった。しかし、ボルテージが作っているゲームは、あまりゲームをしないライトユーザーでも遊びやすいよう、ゲーム性以上にドラマ性が重視された設計になっている。恋愛小説のように読み進めながら、ゲーム要素が盛り込まれている。だからこそ、ごく普通の女性達に指示を受けている。たかが恋愛のゲームとあなどってはいけない。ユーザーをキュンとさせる工夫が随所に盛り込まれている。

ヒットする「仕組み」を作る

創業から4年間、ボルテージは赤字が続いたが、恋愛ゲームを出して大ヒットをおさめる。黒字となってわかったのが、売れる商品を作らないとダメということ。そこでボルテージは事業を恋愛ゲームに絞り込み、快進撃を始める。

恋愛ゲーム事業に絞り込んでから、ボルテージが急成長できたのは、ヒットコンテンツを送り出せたからに他ならない。その数は年間6〜10本にもなる。事業を恋愛ゲームに絞ったのは、ノウハウを形にするのに、事業が多方面に広がっていたのでは時間がかかり過ぎてしまうからだった。1つに絞り込めば、成功のノウハウをいち早く蓄積し、更新し、共有する事ができる。その「仕組み」を作る事ができる。

恋愛ゲームを作りながら、整理していった。企画書の書き方から始まり、コンセプトの作り方、キャラクター設定の仕方、トップページの作り方。コンテンツのメカニズムを分解し、どうすればいい企画が立てられるかをひも解いた。勘で作っていたのでは、いつまで経っても博打である。

ユーザーに支持される恋愛ゲームを作るための「フォーマット」や「仕組み」は極めて精緻で、しかもあらゆるプロセスに広がっている。これを津谷氏は時間をかけて作り上げた。これこそが、ボルテージが優れたゲームを出し続けられた理由である。