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2016/03/23更新

ビッグバン・イノベーション――一夜にして爆発的成長から衰退に転じる超破壊的変化から生き延びよ

334分

10P

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超破壊的な製品ライフサイクルモデル

製造コストや情報コストの低下によって、破壊的製品やサービスのライフサイクルに変化が生じている。これまでの『キャズム』に変わる新たな製品ライフサイクルとルールを提唱している一冊。


■ビッグバン・イノベーション
ビッグバン・イノベーションとは「安定した事業をほんの数ヶ月か、時にはほんの数日で破壊する新たなタイプのイノベーション」である。破壊的製品やサービスは、既に誕生した瞬間から、既存の製品やサービスと比べてより良く、より安い。インターネットやクラウドコンピューティングなどの新技術を用いた破壊的製品やサービスは、瞬く間に成熟産業を揺るがし、既存企業とそのサプライチェーン・パートナーに打撃を与え、すぐにとどめを刺す。破壊的製品やサービスの特徴は次の3つである。

①枠にとらわれない戦略
破壊的製品やサービスは市場に登場した時点で「より良く、より安く、よりカスタマイズされている」。

②とめどない成長
破壊的製品やサービスが登場すると「製品ライフサイクルの変化」は、従来の釣り鐘曲線とは違ってほぼ垂直な勾配を描く。ひとり勝ち現象が起き、製品ライフサイクルは短命化する。

③自由奔放な開発
既存部品とソフトウェアとを組み合わせた低コストの実験を矢継ぎ早に試みる。そして優れた技術とビジネスモデルがうまく融合した時、市場は急激に動き出す。

超短要約

ビッグバン・イノベーション時代を生き抜くためには、競合のレーダーよりも広く深く探知できる早期警報システムを備えて、新技術が現れる兆しとその破壊的影響力を検知しなければならない。あるいは、破壊的製品やサービスを取り込み、イノベーター企業と組むという新たな手法も必要になってくる。

ビッグバン・イノベーション市場では、製品やサービスは一気に売れるか、全く売れないかのどちらかしかない。爆発的に売れた場合、市場はたちまち飽和状態に達する。そして、ビッグバン・イノベーションを起こした者には、急激な売上の後に、必ず急激な落ち込みがやってくる。

どの破壊的製品やサービスも、従来の製品ライフサイクルである釣り鐘曲線とはかけ離れている。新しい普及モデルは、屹立した崖のような形を描く。のぼる傾斜は既存企業にとって危険であり、落ちる傾斜は破壊的製品やサービスを放ったイノベーター企業にとって危険である。この普及モデルでは4つのステージが存在する。

①特異点
特異点のステージで破壊的製品やサービスの醸造を促すのは、ハッカソン、オープンソースの部品、ベンチャーキャピタルの支援を受けたイノベーターである。実験は安価に行え、失敗した時に被るリスクも低いために、今この瞬間にも、既存企業を破滅に追いやる実験が盛んに行われている。

②ビッグバン
ビッグバンのステージに入ると、成功も失敗も何もかもが突然に起きる。顧客は殺到するか、しないかのどちらかだ。顧客は「試験利用者」と「市場の大多数」の2種類しかいない。ここでは、本質的に「ひとり勝ち市場」である。

③ビッグクランチ
ビッグバンのステージでは革新的な技術とビジネスモデルとが一体となって大爆発が起こり、市場は劇的に膨れ上がる。だが、やがて飽和に達して内破する。かつて何年も何十年もかけて飽和した市場は、今では数ヶ月か数週間で飽和する。

④エントロピー
ビッグクランチが終わりを告げる頃、顧客は古い産業を棄てて、新しい産業へと移動してしまっている。ほとんどの既存企業は、価値のない資産をできるだけ早く処分して、滅びゆく産業とサプライチェーンとを後にし、まだ価値のある資産を携えて、新たなエコシステムへと移動する。新たな世界で利益の見込める居場所を見つけ出す企業もあれば、他の産業にピボットする企業もある。破綻する企業もあれば、ただ消えゆくブランドもある。

著者 ラリー・ダウンズ

アクセンチュア ハイパフォーマンス研究所 フェロー それまでの市場を破壊するような技術が登場した際、それがビジネスや政策にどう影響を与えるのか、過去30年にわたりコンサルティング、講演、執筆している。特にインターネットに関するテクノロジーに強い。 アーサーアンダーセン、マッキンゼーなどのコンサルティング会社を渡り歩き、現在はアクセンチュアのフェロー(ハイパフォーマンス研究所)。 突如起こった技術革新により、産業構造がどう変わっていくのか、長期的な観点から研究している。ウォールストリート・ジャーナルやブルームバーグ、フォーブス、エコノミストなど、数多くの雑誌に寄稿しており、そのうちForbes.comでの記事は累計350万PVを誇る人気に。

著者 ポール・F・ヌーネス

アクセンチュア ハイパフォーマンス研究所 リサーチ担当グローバル・マネージング・ディレクター 1986年以来アクセンチュア一筋のマーケティングのプロで、ITの進化をビジネスに活かし、予測に役立てるという目的のもとに、ハイパフォーマンス研究所設立に動き、分析を続けている。その研究成果は数々のメディアでも紹介され、また、賞も受賞している。

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経済評論家 小関 広洋

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
第1章 ビッグバン・イノベーションとは何か──よりよく、より安い世界で強いられる競争 p.3 28分
第2章 ビッグバン・イノベーションの経済学──クラウド、シェア、IoTがあらゆるコストを低減させる p.43 33分
第3章 シャークフィン──製品ライフサイクルは、もはや「キャズム」に従わない p.89 26分
第4章 特異点──市場に投入するための期間が、市場に投入してからの期間よりも長い p.135 37分
第5章 ビッグバン──「破滅的な成功」そのものがイノベーターを追い詰める p.187 30分
第6章 ビッグクランチ──みずから起こしたイノベーションに首を絞められる前に p.229 31分
第7章 エントロピー──撤退すらできない地獄からどう抜け出すか p.273 34分
おわりに それでも、希望は残されている p.321 6分

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