読書を意味あるものにするにはどうすればいいのか。対照的な本を組み合わせ、テーマごとに2冊の本を読み解きながら、あるべき読書の方法について紹介する異色の読書ガイド。
■読書は格闘技である
書籍を読むとは、単に受動的に読むのではなく、著者の語っている事に対して、「本当にそうなのか」と疑い、反証する中で、自分の考えを作っていくという知的プロセスでもある。元々、世の中には最初から何らかの真実がある訳ではない。それは、様々な考え方を持っている人達が、議論を戦わせる事を通じて、相対的に今の時点でとりあえず正しそうなものが採用されているに過ぎない。今日正しいとされる考え方も、明日には新しい考え方に取って代わられるかも知れない。だからこそ、読書をする時も、自分の今の考え方と、著者の考え方を戦わせて、自分の考え方を進化させるために読むというぐらいの気持ちで臨むのが良い。
「読書は格闘技」という考え方に立つと、「良書」の定義も変わってくる。普通、「良書」というと、書いてある事が正しいものであり、正しい考え方であると思われる。しかしながら、書いてある事に賛成できなくても、それが批判するに値するほど、1つの立場として主張、根拠が伴っていれば、それは「良書」と言える。「良書」とは、批判に値し、乗り越える価値があるものの事を言う。
本を読み終えた後、しばらくして、その内容を完全に忘れてしまい、その後の思考や行動の変化が何もなければ、それは宝の山に入りながら手を空しくして帰るに等しい。実のところ、読書を通じて、知識が増えて、それが何らかの判断に役立ち、行動の変化が起きた時に、最も読書の価値が生じたと言えるだろう。その時初めて、読書が「世界という書物を直接読破」する旅の地図となる。
とはいえ、必ずしも読書で得た経験が明日からすぐに役立つ必要はないとも考えている。読書が「世界という書物を直接読破」する旅で、最も役立つ瞬間というのは、何らかの課題にぶつかった時に「そういえば、大分昔に読んだ本にこんな事が書いてあったな」という、偶然に、一見無関係な事が頭の中に繋がった時だったりするからだ。イノベーションは全く違う分野の知識の有機的な結合によって起きる事が、各種の研究からほぼ定説になっている。そういう意味では、切り口を思い出せるようにしておくだけでも、随分違う。
著者 瀧本 哲史
京都大学 客員准教授 大学卒業後、助手経験を経てマッキンゼーに転職。独立後、企業再生として日本交通の再建などを手がける。エンジェル投資家など、多彩な顔を持つ。
マインドマップ的読書感想文 smooth |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
Round0 イントロダクション | p.5 | 4分 | |
Round1 心をつかむ | p.11 | 8分 | |
Round2 組織論 | p.23 | 8分 | |
Round3 グローバリゼーション | p.35 | 8分 | |
Round4 時間管理術 | p.47 | 8分 | |
Round5 どこに住むか | p.59 | 8分 | |
Round6 才能 | p.71 | 8分 | |
Round7 大勢の考えを変える(マーケティング) | p.83 | 8分 | |
Round8 未来 | p.95 | 8分 | |
Round9 正義 | p.107 | 8分 | |
Round10 教養小説―大人になるということ | p.119 | 8分 | |
Round11 国語教育の文学 | p.131 | 8分 | |
Round12 児童文学 | p.143 | 8分 | |
読書は感想戦 | p.155 | 3分 |
読書について 他二篇 (岩波文庫) [Amazonへ] |
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人を動かす 新装版 [Amazonへ] |
君主論 (岩波文庫) [Amazonへ] |
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文明の衝突 [Amazonへ] |
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