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2013/04/01更新

メイド イン ジャパン 驕りの代償

216分

5P

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パナソニック、シャープ経営危機の本質とは?

経営者の判断ミスと、それを否定できない企業体質こそが、経営危機を招く。
経営危機に陥っているシャープ、パナソニック、経営再生を果たした日産自動車などを紹介しながら、「メイド・イン・ジャパン」再生に必要なことは何かを問う。


■過去を健全に否定する企業体質が必要である
グローバル経済が加速して、企業が売上高と収益を伸ばしていくには、世界の市場で競争に挑んでいかなければならない時代が来ている。同時にこれは世界の消費者が求める多様な意味的価値にも対応していかなければならないという事である。

価値観が多様化する中ですべての価値観に対応する製品を造ろうと思えば、部品や金型などが増えて開発コストが高まる。逆に開発コストを抑えれば多様な価値観に対応できない。矛盾する2つの課題を解決するには、これまでの仕事のプロセスを経営者と現場が一体となって見直す必要がある。このためには過去を健全に否定できる企業体質が必要になっている。

過去を健全に否定できる骨太でパワフルな経営者・人材を養成しなければ「メイド・イン・ジャパン」の再生はない。

超短要約

■存亡の危機シャープ
倒産説が囁かれるほどシャープが経営危機に追い込まれている理由は、すでに多くのメディアが報じている通り、無防備な過剰投資による主力の液晶事業の不振である。製造業では過剰設備は命取りになる。高額の設備を導入して社員も増やした後に工場の稼働率が下がれば、働かない社員に賃金を払い、償却負担にも苦しむ事になる。

シャープは2012年3月期の第二四半期決算以来、5四半期連続で下方修正を繰り返している。その構図は、経営者の危機感の乏しさから常に甘い見通しを立てているが故に計画を達成できず、対応も後手に回るというものである。パナソニックが減損処理を繰り返してきた構図と似ている。こうした事態を受けて市場からの信用を失った。

ただ、パナソニックと違うのは、シャープの場合、営業損益段階で赤字であり、それが拡大している点だ。液晶、太陽電池、AV・通信機器とほとんどの事業が赤字の見通しだ。今のところ再生を牽引するビジネスが見当たらない。

シャープ凋落の原因は、4300億円もの巨大投資を行った堺工場建設による過剰投資や、自前主義の「垂直統合」にこだわった技術戦略の失敗だと指摘されている。しかし、シャープの凋落が止まらないのは、シャープの役員、中でも経営トップの能力が著しく劣っているからである。シャープを倒産の危機から救うには、経営陣を総取り替えするしかない。

2007年に社長に就任した片山幹雄氏は、4000億円を超える無防備かつ莫大な投資を行った張本人である。一応責任を取らされる形で更迭されたが、復権を狙った。シャープの経営トップに「経営責任」という文字はないようだ。シャープにとっての悲劇は、片山氏の後に社長に就任した奥田氏が大企業を牽引できる器量ではなかった事だ。そもそも奥田氏は、社長就任前には社内外でもほとんど知られていなかった地味な存在。かつての部下の評価も「堅実でリスクを取らないサラリーマンの鑑」といったものだった。経営危機の渦中にあるシャープで舵を取るには任が重すぎた。

■再生に必要なこと
腐り切った企業が一発逆転で再生するには、一時的に批判を浴びようとも、日産のように過去を全面否定するような大胆な再建策を受け入れないと、真の再生には結びつかないのである。パナソニックやシャープなど苦境に立つ日本の電機メーカーはこれまで中途半端で小手先の改革に終始してきたため、なかなかV字回復できない面がある。電機メーカーの再生を担う経営者にも、過去を健全に否定する視点が必要なのである。

著者 井上 久男

1964年生まれ。フリージャーナリスト 大学卒業後にNEC入社。1992年朝日新聞社に転職、名古屋、東京、大阪の経済部に在籍して自動車や電機産業などを担当。2004年フリーとして独立。現在は文藝春秋や東洋経済新報社、講談社などの各種媒体で執筆している。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
まえがき p.5 6分
第1章 パナソニック・ショック p.14 26分
第2章 存亡の危機シャープ p.54 19分
第3章 日産自動車再生の教訓 p.83 31分
第4章 ソニー、パナソニック、シャープ新社長の実力 p.130 10分
第5章 エンジニア流出 p.146 16分
第6章 トヨタの栄枯盛衰 p.171 31分
第7章 日本企業の課題―失われた20年を取り戻せるか p.219 21分
あとがき p.251 7分

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